並木空の記憶録

「紅の空」の管理人2の備忘録

小学館FTノベル賞に合わせて、新連載を始めました!

小説家になろう』のタイアップ企画『小学館FTノベル賞』に合わせて、新連載を始めました!

 『菫青石の姫君は先見の王子の羅針盤になる』

 大陸一の領土を誇るロディアーヌ王国。
 代々玉座を座るのは初代国王であったロディアーヌさまの子孫。
 王族たちは、みな美しい黄金色の左目を持って生まれ落ちる。
 けれどもロディアーヌの黄金の時代は過去のこと。
 魔法のような奇跡の力を使える王族たちは減り、わずかな力と共に多大なる代償を払うことになった。

 賞のテーマに合わせて『ファンタジー×恋愛』ものです。
 珍しくレーベルの特徴もかんがみて、女主人公(ヒロイン視点)ものです。


 流血・性愛で年齢制限をかけるほどではありませんが、後半に行くほど重苦しいシリアスになるので、ハッピーエンドが確約とはいえ、地雷な方はお気をつけてください。


 『小説家になろう』URLはコチラです。
 https://ncode.syosetu.com/n5618io/


 予約投稿を使いながら、朝夕に投稿していきます。
 年末年始&締め切りが1月5日ということもあって、宣伝が上手にできるかどうかはわかりません。


 第一部は全12話構成です。
 一気掲載も考えたのですが、第一稿時点で2万文字オーバーしてしまいました。
 原稿用紙換算でも90枚だそうです。
 そんなものをWEBで読めるはずもないだろう、ということで場点に合わせたら、全12話になりました。


 第二部は落ち着いたら執筆ができたらいいなぁ、と薄ぼんやりと思っています。
 やたらと番外編や後日談になるようなエピソードがネタ帳に殴り書きされているのです。


 カテゴリー欄に入っているように『菫青石の姫君は先見の王子の羅針盤になる』は『黄金の左目』の外伝的な位置づけになります。
 サイトへの更新(転載)は、申し訳ありませんが、賞から落選しないとできないので、2月末に発表ということなので、3月ぐらいまで待ってください。
 たぶん落選すると思うので、きっとサイトに更新することになると思います。

良いお年をお過ごしくださいませ

 もう一度ぐらい年内に更新できると思っていたのですが、意外に無理でした。
 なので、年が明けたら、何かしら更新をしたいと思います。
 推敲中や『30のお題』などの短い話のストックはあるので、ドタバタ騒ぎが落ち着いたら更新したいと思います。

WEB拍手、ありがとうございます!

 拍手、ありがとうございます!
 おかげさまでやる気が充電されました!
 これからも、頑張りたいと思います。


 リクエストは随時受付中なので、遠慮なく!

フラクタルをサイトにUPしました!

フラクタル 運命は常に相似形

 このシリーズは無国籍FTの登場人物が、「もしも学生だったら?」という“if要素”で構成されているセルフパロです。
 そのため、登場人物の名前が日本人離れしています。
 また本編の関係性や生育環境は、アレンジして持ち込まれています。
 ※本編である無国籍FTは、WEB未発表です。


 フラクタルの総目次ページはこちら。
 フラクタル 【無国籍FT学園パロディ】


 www.pixiv.netに投稿した作品を自サイト『紅の空 【オンライン小説サイト】』にもページを作りました。


 小話として、投稿した「ポッキーの日https://lan-tian.hatenablog.com/entry/2023/11/11/122217)」から数か月後のクリスマス・イブ話です。
 さらに、今回は、畠山楽瑠×四恩好貴の『口実』を読了前提で、岡崎灯影×古賀春晏の『最低のクリスマス・イブ』になっています。
 合計3話ほど掌編小説をUPしました。


 pixivとサイトで読みやすい方を読んでいただければ幸いです。
 この短期間に頑張ったと思いませんか?
 ということで誰も褒めてくれないので自分で褒める感じです!


 pixivアカウントはこちら。
 名義は青井そらです。
 素材を作ったり、シェアワールドで遊んだり、二次創作したりしている節操がないアカウントになっています。
 地雷にはお気をつけください。
 www.pixiv.net

『人の影』について

 完結をお待ちの方がいらしたら、申し訳ないです。
 書いていないわけではないのですが、趣味的な作品なので、時間軸の整理整頓をしていたら面倒なことになりました。
 だから嫌なんだ。
 ファンタジー設定の入らない現代ものって。
 書けば書くほど伏線の張り直しが待っているので、ちまちま修正しています。


 というか、事実は小説よりも奇なり(Fact is stranger than fiction.)を体験中です。
 世間の流れに間に合わないです。

『鳥たちの見た夢』について

 本編の『烈日の朝』のだいたいの推敲は終わっているんですが、その次の章のプロットが立たないために見送られています。
 どうしても初期に立てた年表と合わないんですよね。
 この整合性が、どうにかならないと、掲載に踏ん切りがつかないところです。
 『それでも読みたい!』という奇特な方がいらっしゃるのなら、掲載してもいいのですが。


 ご意見、お待ちしています。
 匿名でWEB拍手でもメールフォームでも、お好きな手段でどうぞ!


 『烈日の朝』は恋愛要素がかなり薄く、政治的な話が大きいです。
 メインカップリングのソウヨウ×ホウチョウが、ほとんど一緒にいません。
 幸いなことにR指定をつけるほどの流血・残酷シーンはありません。

WEB拍手、ありがとうございます!

 拍手、ありがとうございます!
 皆さんのところにも素敵なクリスマスが訪れますように♪

ブックサンタになろう! というわけでpixivに投稿してきました。

フラクタル 運命は常に相似形

 このシリーズは無国籍FTの登場人物が、「もしも学生だったら?」という“if要素”で構成されているセルフパロです。
 そのため、登場人物の名前が日本人離れしています。
 また本編の関係性や生育環境は、アレンジして持ち込まれています。
 ※本編である無国籍FTは、WEB未発表です。


 フラクタルの総目次ページはこちら。
 フラクタル 【無国籍FT学園パロディ】


 前回のblogの記事通りに、フラクタルから2作品をwww.pixiv.netに投稿してきました。


 小話として、投稿した「ポッキーの日https://lan-tian.hatenablog.com/entry/2023/11/11/122217)」から数か月後のクリスマス・イブ話です。
 オリジナル小説サイト『紅の空』には、小話とまとめて、24日か25日にまとめられればいいかな? って、思っています。
 リアルが年末進行でドタバタしていますが、頑張らさせてください!


 pixivアカウントのあり、先に読みたい方はどうぞ!
 ページはこちらです。
 https://www.pixiv.net/users/178017


 畠山楽瑠×四恩好貴の『口実』を読了前提で、岡崎灯影×古賀春晏の『最低のクリスマス・イブ』になっています。
 短いお話しなので、さらりと読めるかと。


 ブックサンタ企画に提出するオリジナル作品は、この二つだけなので、こっからは二次創作のターンです。
 お気をつけください。

WEB拍手、ありがとうございます!

 拍手、ありがとうございました!
 皆さん、寒波に負けずに頑張りましょう♪
 さりげなく冬至なので、「ん」のつく食べ物を食べました!

セルフパロ【学園もの】フラクタル『日常』を更新!

フラクタル 運命は常に相似形

 このシリーズは無国籍FTの登場人物が、「もしも学生だったら?」という“if要素”で構成されているセルフパロです。
 そのため、登場人物の名前が日本人離れしています。
 また本編の関係性や生育環境は、アレンジして持ち込まれています。
 ※本編である無国籍FTは、WEB未発表です。


 未来編
 『日常』 岡崎灯影×古賀春晏 UP!


 原稿用紙18枚程度


 総目次ページ
 https://one.chips.jp/k-sora/s-fractal.html

フラクタル 岡崎灯影×古賀春晏 このCPの第一作目です

 本来、サクッとUPしなきゃいけない作品だったんですが、ようやく日の目を浴びました。
 クリスマス前ということで、突貫工事です。
 ただの先輩と後輩だった頃の二人です。
 ポッキーの日よりも以前の話になります。


 第一作目だということだけあって重要な伏線が入っているので、どうにか更新できて良かったです。
 何故、今更、仕上げて更新したのかというと↓の企画に、このカップリングのクリスマス・イブ話を投稿する予定だからです*1
www.pixiv.net

WEB拍手、ありがとうございます!

 拍手、ありがとうございました!
 とっても嬉しかったです♪

*1:関連作品として畠山楽瑠×四恩好貴の作品も投稿予定です

【現パロ・再掲】鳥たちの見た夢 ダズンローズデー

本日は12月12日。

 ダズンローズデーです。
 愛する人に1ダースの薔薇の花束を贈る。
 という記念日ですね♪

フェイ・ホウチョウ



 薔薇を持った女の子の絵。
 ということで、過去絵を引っ張りだしてきました。
 初出は『手書きブログ』です。


 現パロが楽しかった時期でしたね。
 少々、体の弱い、社長令嬢ぐらいのノリでマウスで描いたと思われるものです。


 本編はコチラ↓
 鳥たちの見た夢 【中華風ファンタジー・長編連載小説】
 思いっきり流血・暴力シーンが散乱しているのでR-15です。


 作中、一応、縛りがあるので、使える薔薇の品種が限られているので、薔薇オンリーの写真付きの辞典*1片手にモダンローズを中心に持たせてみました。
 ホウチョウちゃんがソウヨウくんにお返しする薔薇の意味は『幸福』でしょうか?

WEB拍手ありがとうございます。

 拍手、ありがとうございます!
 せっかくの記念日なのだから、それらしいものを書き下ろせれば良かったんですが、空ぶりました。

*1:京成バラ園で過去に購入したもの

鳥たちの見た夢 PR文

X(旧twitter)でも流した作品の一つです。

シ・ソウヨウ



 知っていますか?
 希望というものは
 絶望の中でしか輝かない
 幸福な世界の中では
 誰も希望なんて探さないのです


 鳥たちの見た夢 【中華風ファンタジー・長編連載小説】


 口調的には南城の城主時代でホウチョウちゃんに再会前か、大司馬になってから落ち着いた頃に世間話の一環で言ったような感じですね。
 これがソウヨウくんの本質、というわけではなく、作者である並木空の持論ですね。
 ちょっと雑な表現ですが、メーテルリンクの童話劇である『青い鳥』なんかがわかりやすい、かと。

絶望

 どんな時でも希望が見える時って、すでに絶望の底に叩き落されている状態なんです。
 奇跡というのは、絶望の中にしかないのです。
 本当に幸福だったら、希望を探すことはしませんし、奇跡を求めることはありません。


 そういうのがどの作品にも、根底にあったりします。

さいわいとは?

 ここで『幸福』と言ったように『幸せ』ではありません。
 この辺の使い分けは宗一郎と燈子の45日間の空 【現代恋愛小説】が詳しいですね。
 『幸』という象徴文字は『手枷をはめられた』図形からきているのです。
 つまり罪人ですね。
 その枠から離れて、自由になれることを『さいわい』と呼ぶのです。

WEB拍手、ありがとうございます!

 拍手、ありがとうございました!
 とっても嬉しかったです。

PR『鳥たちの見た夢』第七部 来訪者

名刺メーカーさんで作ったものです。

シ・ソウヨウ

 『敵』を殺すのには理由はいりませんよ
 それとも情けをかけて
 殺される側に回るというのですか?
 滑稽ですね
 そんな未来はいりません


 『鳥たちの見た夢』
 ――『第七部 来訪者』


 絲 蒼鷹


 緑の瞳の大司馬
 軍事を一手に司る最高位の武官であり
 広大な穀倉地帯を治めてきた色墓の当主であり
 鶯鏡州州侯


 そして皇帝の忠実な懐刀


 この日のために飼われてきた人の形をした暗器*1


 鳥たちの見た夢 【中華風ファンタジー・長編連載小説】

ありたいていに言えば、プロットが没になっただけです

 同じ画像のものがX(旧:twitter)にも載っています。


 『第七部 来訪者』まで読んでいる読者には、なんてこともないPRです。
 言い回しこそ違えども、似たり寄ったりのことをソウヨウは言っていますからね。
 独白じゃなければ、白鷹城間の悪いシュウエイが聞くはめに、なったんでしょうか。
 こういうことをサラって言う主人公って、どんな倫理観なんでしょうね。
 数え18で、ソウヨウの場合、建平三年七月には誕生日がきていないので、現実だと高校二年生ぐらいでしょうか。


 もし『鳥たちの見た夢』が日本だったら、実権を持ちすぎている防衛大臣ですね。
 大学までストレートで卒業して、被選挙権*2で、大抜擢されているという嫌味な設定です。
 いくつかある特技で、ホウスウの許可なく軍を動かすことができる。という設定もありますから。


 お世話になったツール。
 sscard.monokakitools.net

WEB拍手、ありがとうございます。

 拍手、ありがとうございました!

*1:暗殺などの非常の事態に用いられる武器

*2:衆議院だと満年齢だと25歳以上

中世ヨーロッパ風恋愛ファンタジー『神の印』更新!

『神の印』の間章『そこに静かに座っていた』を更新しました!

 王権神授の時代。神はまだ間近に存在していた。
 ここ、エレノアール王国は「光」を信仰していた。現在の王室は、 ハーティン家。
 四代ほど英邁な君主に恵まれ、平和な歴史を刻んでいる。
 その王家に縁あるローザンブルグ一族の恋物語


 間章 『そこに静かに座っていた』
 『30のお題』使用。
 原稿用紙 10枚


 白薔薇姫ことセルフィーユは、レインドルク伯爵公子であるペルシに一つの疑問を尋ねる。
 ※全年齢とはいえ、きわどい発言が出ます。



 『ローザンブルグの嵐』が終了直後。
 『レインドルク伯爵家』の直前のエピソードです。


 視点人物はペルシです。


 だいぶ前に拍手でリクエストをいただいたものの答え的な話になっています。
 結婚前に、公爵家直系の男性がローザンブルグ娘に聖徴を教えない理由になっています。*1


 神の印 【中世ヨーロッパ風ファンタジー・恋愛小説】

WEB拍手、ありがとうございます!

 拍手、ありがとうございました!
 嬉しかったです!


 ギリギリの月末とはいえ、更新できて良かったです。
 次は『フラクタル』か『鞠』の後日譚になるかと思います。
 リクエストは受付中なので、お気軽にどうぞ~。

*1:目立つ位置に出てしまったシブレットは例外です。

【鳥たちの見た夢】ラクガキ

【鳥たちの見た夢】のラクガキです。

フェイ・ホウスウ

 X(旧:twitter)に垂れ流したように、またもプロットが没になった腹いせに描いたラクガキです。
 記事はコチラ ↓
 




 ホウスウの立后問題は難題です。


 本編にあるように、建平三年の七月の建国祭から約300年の繁栄をする、大陸史上、人民が豊かだった時代の幕開け。
 その初代皇帝が飛鵬雛(フェイ・ホウスウ)です。
 諡号は、文帝です。
 玉座を継いだ長男から贈られている、という設定でもあります。

 「文」は諡号に使われる佳字の中でも最も高徳なものとみなされており、内政での治績を挙げた皇帝に贈られることが多い。
 ウィキペディアWikipedia



 やる気のない恰好しているので、禁色である黄色がなければ、官吏にすら見えない状態です。
 部屋着とか、寝着とかに等しいです。


 気軽にペイントツールSAIで遊ぼうとデフォルトの設定だったので、印刷をする気もないのに解像度が300dpiスタートだったらしいです。
 もっとも文字乗せをした段階で、ある程度軽量化したので、印刷には不向きだとは思いますが。


 ソウヨウの瞳の色のせいか、『鳥たちの見た夢』は緑のイメージが強いと思いますが、初期プロットでタイトルを決めた時に『鳥』で思いついたのが『翡翠カワセミ)』だったことも手伝って、青みの強い緑とかエメラルド・グリーンが作者的には正解だったりします。

WEB拍手、ありがとうございます。

 拍手、ありがとうございます!
 パチパチと嬉しかったです♪
 

ピクシブ主従

pixivに投稿しました。

ピクシブ主従



 こちらでチラリと語っていたように、pixivにアップしてきました。 
https://lan-tian.hatenablog.com/entry/2023/10/10/160506

 ジャン・アゾートの卒業後から本国への帰国まで話になっています。
 ストーリー展開&第二話の視点人物等は、すべて樹神さんと相談した結果に書いたものです。
 きちんと了承を得たので、この度、小説の形としてですが公表に乗り切りました。

 www.pixiv.net
 『紅の空』でページを作るかは悩みどころです。
 一応、シェアワールドで、キャラクターを樹神さんからお借りしているので。

WEB拍手、ありがとうございます。

 とっても嬉しかったです!

中世ヨーロッパ風ファンタジー恋愛ファンタジー『黄金の左目』プロット作成中です

『黄金の左目』の脇役の一人にスポットをあてて、プロットを製作中です。

黄金の左目

 Wacomの板タブを使っていたんですが、年単位で遊んでいなかったので1ドロしていました。
 めちゃくちゃ古いので、公式に行ってダウンロードからスタートしました(笑)
 たまたま掃除していたら、品番がわかったので。


 使用ソフトは基本はペイントツールSAIです。
 背景用にGIMPの最新版を使いました。
 日本語版を使っているのですが、結構頻繁なアップデートですよね。
 フォトレタッチソフトを持っていない方にはお勧めなフリーソフトです。
 日本でも愛用されているので、検索すれば使い方が丁寧に解説してあるサイトやブログにたどりつけます。
 文字乗せは、ホームページビルダーに付属しているウェブアートデザイナーを使用しました。
 文字乗せはこれが一番軽く、感覚的な感じでできるので、愛用しています。


 ペンタブを使ったと書きましたが、半分ぐらいロジクールの無線のマウスを使っていました。
 線だけはペンタブを使いましたが、後はグリザイユ塗りだったので、マウスの方が早いのです。
 ここは個人差でしょうかね。
 厚塗りをするのにも、ちょっとしたラクガキをしてオーバーレイを入れて着色して、それっぽく見せるのにも適した塗り方です。
 油絵をやっていた方には馴染みのある塗り方かもしれませんね。
 この塗り方の良いところは、よっぽどのことをしなければ色が濁らないという利点があります。
 アニメ塗が好きな人には、ちょっと寂しいかもしれませんね。

『黄金の左目』はサイトでの公開は来年以後になる予定です。

 何故ならば『小説家になろう』で開催している『小学館ファンタジーノベル&コミックス大賞』に応募するためです。
 賞が欲しい、というよりも、自分の書いている『恋愛』&『ファンタジー』って、どんなものだろうか?
 っていう腕試しに近い感じです。


 落選したら『カクヨム』とサイト『紅の空』に掲載予定です。


 ヒロインである主人公視点で物語は進んでいきます。
 悪役令嬢でもなく、聖女でもなく、没落貴族でもなく、チートがあるわけでもない。
 身分のある貴族階級に生まれながら、運動神経がいまいちなために、ダンスがまともに踊れずに、美貌にも恵まれずに、本が好きで、父親の居城である片田舎でのんびりと過ごしている、少々内気なスミレの花のようなヒロインです。
 第二王子の19歳の誕生日パーティーに家族に勧められて、第二王子と出会うという王道ストーリーです。
 家族は、単に家族団欒して、楽しもうぐらいのノリで王都に来るように勧めただけで、正式な見合いではありません。

第二王子のまともな絵がないな

 『黄金の左目』は第三王子視点の話だから当然なのですが、設定資料を兼ねて描き下ろしてみました。
 ちなみに第二王子様なのにマトモな恰好をしていないのは意味があるので、伏せておきます。
 これぐらいラフな格好でヒロインと出会う、という設定なので。
 ヒロインも黄金の左目がなければ、王族だと気がつかなかった、という状態です。

今月の末には、小話の移動以外に、更新をしておきたいですね。

 やっぱり『30のお題』を使用した『神の印』あたりでしょうか。
 なにせ夏には第一稿が終わっていましたからね(笑)


 毎日、どこかしら更新しているor推敲orプロットを立てている状態なので、疲れてきているのは確かです。
 体調の方は回復傾向にあるのでご安心を。

WEB拍手、ありがとうございます!

 拍手、ありがとうございます!
 とっても嬉しかったです。

【現パロ】イフ・海月

『鳥たちの見た夢』の『外伝・海が抱く月の夢』の現パロです。

Picrewさんで遊んでみました - 並木空の記憶録
 で、語ったように現パロで遊んでいたものです。


 本編がきつい時期だったので、誰も死んでいない状態です。
 若干、中華風ファンタジーから現代ものに持ってきたので年齢操作が行われています。


 視点人物は華月です。
 民法改正前なので16歳の女子高生です。
 本編と違うのは、現代女子高生らしく恋愛に自覚があるところでしょうか。


 偽装結婚で、従兄妹のお兄さんを振り向かせたい、という、あるあるネタですね。


 原作はコチラ。
鳥たちの見た夢 外伝・海が抱く月の夢

 パチパチ
 パチパチパチ
 リズミカルに叩かれる音。
 それは良く聞く音だ。
 だから、この音に眠りを邪魔されることはない。
 今、目が覚めたようとしてるのは、たんに眠り足りたからだ。
 少女は瞳を開いた。
 キーボードを叩く音。
 音を立てている主はブラインドタッチができるから、その視線はずっとモニターに注がれている。
 青白い光に照らされた顔。
 『怜悧な美貌』と言うのはこう言うことだろうか。
 眼鏡をかけているのは家の中だからだ。外で働いているときはコンタクトをしている。
 銀縁のフレームが良く似合っている。
 でも、少女は知っている。
 冷たく見られがちな容貌が眼鏡をかけると輪をかける結果になることを男が気にしていることを。
 本当はコンタクトが好きじゃない。だから、家にいるときは眼鏡をかけている。
 それを知っている人は、そうたくさんいないはず。
 優越感がくすぐられ、少女は微笑む。
 男の膝の上に、頭を置きなおす。
「起こしたか?」 
 優しい声が降ってくる。
「ううん。
 自然と目が覚めたの」
 膝枕をしてもらっているのが嬉しいので、寝転がったまま。
 優しい手が少女の頭を撫でる。
「お腹は?」
「ちょっと、すいたかも」
「じゃあ、何か作ろう」
 男はキーボードのキーをいくつか打つ。
 薄暗い部屋に電子音が切なく響いて、ノートパソコンは静かにブッラクアウトした。
 名残惜しい。
 そう思いながらも、少女は体を起こした。
 ソファに座りなおして、あくびをかみ殺す。
「制服のまま寝るのはやめなさい」
 男は少女の額を軽く小突く。
「んー。
 気をつけてはいるんだけどね」
 少女は自分の制服を見下ろす。
 真っ黒なプリーツスカートはしわしわになっている。
「アイロンをかけておくから、着替えてくるように」
「うん。
 そうする」
 少女はのろのろとソファから降りる。
「何が食べたい?」
「何でも良いや」
 少女はそう言うと、自分の部屋に向った。


 少女の名前は海 月華。あだなは華月。
 名門私立シュホウ学園 高等部ピカピカの一年生。
 二組 出席番号七番。
 得意教科は体育で、苦手教科は数学と家庭科。
 身長152センチ、体重はナイショ。
 長所は明るいところ、短所はあんまり考えないところ。
 ごく普通の女の子。
 ちょっと変わったところがあるとしたら、16歳で人妻であることぐらい。
 少女には旦那様がいるのだった。
 旦那様は株式会社『海月』の代表取締役である。
 海 朗達、あだなは沖達。年齢35歳。ちなみにクールビューティー
 初めは偽装結婚でしかなかったのだが、そのうち二人は自然と惹かれあい……と都合よく話が運ぶはずなく、二人の関係は親戚のお兄さんと手のかかる女の子だったりする。
 そう二人は親戚で、相手はあろうことか少女のオムツを替えたことすらあるらしい。
 これではなかなか異性として意識してもらえない。
 今日こそは、とは思うのだけれど空振りしてること多し。
 

 少女がリビングに戻ると、室内は明るく電灯が灯っていて、ご飯ができていた。
 ほかほかと湯気を立ててるシュウマイと野菜たっぷりの塩ラーメン。
「はい、制服」
 しわしわになったスカートとジャケットを示す。
「その辺に置いといてくれ」
 指し示された場所に素直に置く。
 華月はいそいそと席に着く。
 沖達の作るご飯はとても美味しいのだ。
 エプロンを外しながら、沖達の席に着く。
 時刻は9時。少し遅い晩御飯である。
「「いただきます」」
 箸を挟んで、手を合わせる。
 ちゃんと挨拶したら、さっそくラーメンに箸をつける。
 ちなみに学校では「天にまします我らが神よ~」という挨拶をする。
「今日の学校はどうだった?」
 旦那様である前に保護者である沖達が訊く。
「フツーだよ」
 可もなく、不可もなく。
 華月はラーメンをすする。
「普通と言うことはないだろう?
 それなりに何かあるはずだ」
 華月的には逐一ご報告は、子どもっぽくて嫌なのだが、沖達は許さない。
「あえて言うなら……。
 沖達がいなくて、寂しかった」
「……」
 沖達は額を押さえて、ためいきをついた。
「ホントのことなのに」
 華月は唇を尖らせる。
「他には?」
「鳳の車、新しくなってた」
「は?」
テスタロッサだって。
 送ってくれるって言ってたけど、二人乗りでしょ?
 鳳の彼女さんに悪いから、ちゃんと電車で帰ってきたよ」
「……相変わらず、うなるほどの金を動かしてるな」
 沖達は呟いた。
 フェラーリテスタロッサを乗り回す鳳なる人物は『海月』の親会社『鳥陵財閥』の会長の次男坊である。
 バブル崩壊で事実上の倒産をした『海月』の全社員を救ってくれた大恩人である。
「沖達はああいう車、買わないね?
 どうして?」
「燃費が悪いからだ。
 車なんて軽で充分」
「ふーん。
 世の社長さんは、もっと派手な車乗ってるのに」
「華月は派手な車の方が良いのか?」
「ううん。
 沖達の車、可愛い色をしてるから大好き」
 華月はにっこり笑った。
 沖達の名誉から言えば、車の色はごくオーソドックスにシルバーである。
 ライトの形は華月たってのお願いで、真ん丸な形をしているが。
「そういえば、お誕生日会に招かれたの。
 行っても良い?」
「どこの?」
「ファンのお誕生日会だよ。
 沖達も是非、出席してくださいって」
「仕事の都合しだいだな」
「それは大丈夫。
 強制的に休みにするって、鳳が言ってたから」
 全然大丈夫ではないことを華月は言う。
「……考えておこう」
「それって、やらないってことだよね。
 婉曲的な断り? って言うの?
 この前、教えてもらった」
「誰に?」
「春蘭」
 遠縁のお姉さんで、何かと華月の面倒を見てくれる人物である。
 株式会社「海月」の秘書でもある。
「テレビで政治家が言ってたんだ」
「……なるほど」
 沖達は考え込むように、軽くうなずいた。
「ボク、沖達と一緒に行きたいんだけど。
 ダメ?」
 華月は上目遣いで沖達を見た。
「仕方がない。
 顔だけは出す」
「ホント?
 やったー!」
 華月は機嫌良く笑う。
 大好きな沖達とパーティだ。
 嬉しくないはずがない。
 当日はおめかしをするのだ。
 その上、お泊り決定なのだ。
 これで、二人の関係は一歩前進するはず。
 華月は密かな野望を胸に秘め、ぎゅっと箸を握り締めるのだった。

WEB拍手ありがとうございます。

 拍手、ありがとうございました!
 パチパチっと嬉しかったです♪

SF風恋愛ファンタジー「星々の揺籃」を更新。

SF風恋愛ファンタジー「星々の揺籃」の後日譚を更新しました!

 全年齢もののライトノベル的な軽い作品です。
 SFは雰囲気ぐらいな感じの全年齢対象作品です。


 『30のお題を』使用して『羊でも数えてみよう』です。
 幼馴染CPであるディエン×シユイで、原稿用紙12枚程度です。


 『油性ペン』の直後のお話になります。


 というわけで、薄々気がついた方もいらっしゃるかと思いますが、とある作品と縁続きになっています。
 大っぴらに発表をしてもいいんですが、まだ『星々の揺籃』が完結していないので、無事に伏線が全部を回収できたら発表したいと思いますが、年単位なのは確実ですね!
 気がついた方は、こっそりと質問してください。

WEB拍手ありがとうございます!

 拍手、ありがとうございます!
 パチパチっとありがとうございます♪


 月末までに、もう一回ぐらい、更新しておきたいですね。
 リクエストがありましたら、お気軽にどうぞ!

読書『後宮小説』

酒見賢一先生のデビュー作の『後宮小説

 『墨攻』共に、当たり前のように文庫版が家にあるのですが……。
 読んだことのある方なら、ご存じかもしれませんが、私に多大な影響を与えた作品です。
 中華風ファンタジーに傾倒したきっかけでもあります。
 『十二国記』よりも、『夢の宮』よりも、『真・三國無双』よりも、めちゃくちゃ影響を受けました。


 若くしてお亡くなりになったのは残念なことですが。
 だからと言ってネットニュースに堂々と取り上げるのはどうかと思うんですけど!


 スタジオジブリの関係者が関わった『雲のように風のように』を取り上げるのは、まだわかります。
 低年齢が見ることを考慮して、だいぶマイルドになっていますから。
 リマスター化して、美しくなっています。
 中華風ファンタジーが好きで、シンデレラストーリーが好きな女性は楽しめると思います。
 間違いなく名作だと思います。
 もちろん原作である『後宮小説』も類も見ないほど名作だと思っています。
 だが、しかし。
 ここで大にしていっておきます。


 ティーンズラブ以上にエロ本です!


 耐性のない人には、最初の一文から、ドン引きになるような単語がズラズラと並びます。
 年齢制限しなくてもいいのだろうかと思うほど、露骨な単語が飛び交います。


 もちろん肝心のシーンは、ある程度にはソフトにはなっています。
 学問の一つとして『房中術』があると知っている方なら、きっと大丈夫です。
 その後、私自身は調べまくったわけですが。
 おかげさまでR-15程度の恋愛もののさじ加減ができなくなってしまいました。
 官能小説というよりは、どこの小論文だ。というような表現しかできなくなってしまったんです。


 最初に読んだ時は作りこみの素晴らしさに関心したものです。
 というわけで、まだ『後宮小説』を読んでいない方は、覚悟をした上でお手に取りください。

WEB拍手ありがとうございます!

 拍手、ありがとうございました!
 とっても嬉しかったです。


 私事になりますが、思いっきり体調を崩しているので、ポッキーの日に小話とはいえblogに投稿できたのは奇跡なぐらいな勢いで寝込んでいます。
 だいぶ回復してきたので、近々、推敲のすんでいる話をサイトにUPしたいと思います。
 予定では夏には第一稿が終わっていた『30のお題』を使用した『星々の揺籃』のディエン×シユイになると思います。

ポッキーの日

ポッキーの日

 『フラクタル』から岡崎灯影(おかざき・とうえい)→古賀春晏(こが・しゅんあん)。

 その日もぼんやりと古賀春晏は図書当番をしていた。
 すっかり日は暮れて、夜になろうとしていた。
 それもそうだ。
 もう11月なのだ。
 暇つぶしに受験勉強用の参考書を開いていたが、目は滑っていく。
 このところ勉強に身が入らない。
 春晏は、そこそこの成績を修めていたので、付属の大学に上がる推薦枠は取れそうだ。
 高校から持ち上がれる生徒は三分の一とはいえ、内申点のおかげで大丈夫だろうと進路指導の先生も太鼓判を押してくれた。
 私立とはいえ明智学院の付属大学に通えることは魅力的だった。
 高等部同様に手厚いフォローが待っている。
 そこら辺の公立の大学に通うよりも授業料は安く、進路に合わせてカリキュラムが組まれている。
 高校を卒業後は家庭環境を考えて、就職も考えていたのだが、両親も、担任の先生も、明智学院の大学部なら卒業をしておきなさい、と言ったのだ。
 甘えることにはなるが、ありがたく春晏は受け取っておくことにした。
 まだ学びたい、という欲求もあった。
 いつまでも目が滑る参考書を見ていても仕方がない。
 春晏は分厚い参考書を閉じた。
 紙質が薄い割にはハードカバーを閉じたように、重たい音が立った。
 もっともそれを聞くような相手はいなかったけれども。
 ちらりと壁掛け時計を確認すると、施錠には早い時間だった。
 どうやって時間を過ごそうか、と春晏が考えていると思い切りよく図書室の扉が開かれた。
 乱入者は生徒会役員一年生の岡崎灯影だった。
 毎度のことながら、本に対する執着心は素晴らしいものがある。
 わざわざ五階にある図書室まで、駆け足で階段を昇ってきたのだろう。
 綺麗な髪が少し乱れていたし、濃紺のジャケットも崩れていた。
 もっとも岡崎灯影が見本通りの着こなしをしていることなど、一度も目撃したことがなかったのだけれども。
「シュン先輩、ポッキーゲームをしようよ!」
 明らかに図書室で言うような声量ではない声量で灯影は言った。
 しかも開口一番が、それである。
「灯影くん、図書室は飲食物は禁止なんだけど?
 図書当番が終わった後なら……って、なんであんたとポッキーゲームをしなきゃいけないのよ」
 春晏は呆れかえった。
 今日は11月11日。
 それを口実に、あちらこちらでカップルがいちゃつくところを目撃はしていた。
 こそこそと隠れるようにしているので、春晏は見て見ぬふりをしていたのだ。
 あるいは緊張しながらポッキーの箱を手にしている女子生徒もいた。
 意中の彼と接近したいのだろう。
 青春っていいなぁ、なんて暢気に春晏は思っていたのだ。
「減るもんじゃないし」
 あっさりと灯影は言う。
 どこかの芸能界に入ったらどう? と言いたくなるぐらいの美少年だ。
 しかも生徒会役員を選ばれるだけあって、成績の方も文句なしであり、特定のファンクラブもある。
「確実に減るわよ」
 春晏は訂正する。
 うっかりポッキーゲームをして、わがままな後輩にファーストキスが奪われてしまったら黒歴史である。
 しかも、それを写真部にスクープされた日には、二度と学校に通ってこれないぐらいのは恥ずかしい目にあるだろう。
 春晏自身も極度の人見知りな上に、恥ずかしがり屋だという自覚ぐらいはある。
「それに、どこでそれを買ってきたの?」
 貸出カウンターの上には灯影が持ってきたポッキーの箱があった。
 イチゴポッキーとでかでかと印刷されている未開封の箱だった。
 容姿に反して、存外甘党な後輩の好きな菓子の一つだった。
「え、シュン先輩と初めて出会った自販機。
 みんな考えることは同じなんだね。
 ラス一だったよ。
 他の味は全部、売り切れ」
 灯影はニコニコと笑う。
 春晏は神様がいるとしたら恨みたくなった。
 どうしてこんなにややこしいことに巻きこまれる羽目になったのか、と。
 小一時間ほど問い詰めたくなるほどには。
「他の女の子としなさい」
 春晏は冷たく言った。
「俺はシュン先輩だけがいい!」
 案の定、灯影はわがままを言った。
 普通の女の子だったら、よろける瞬間だったかもしれない。
 が、春晏と灯影は長からぬ付き合いなのだ。
 本心から言っているようには見えなかった。
「選り取りみどりでしょうが?
 何だって、こんなおばさんをかまうわけ?
 同級生にだって、いくらだって可愛い女の子がいるでしょう?」
 春晏は言った。
 同級生じゃなくても、ファンクラブがあるのだ。
 本気で岡崎灯影のことが好きな女子生徒がいるのだ。
 なにも二つも年上の先輩とポッキーゲームをしなくてもいいだろう。
 むしろ、可愛らしい女の子たちが岡崎灯影を探し回っていたほどなのだ。
「いや、シュン先輩ほど可愛い女の子って、そうそういないと思うんだけど?」
 モデル並みに整った容姿の少年はさらりと言った。
「私、あなたよりも二つも年上なんだけど?」
 確かに身長は低いし、出るところが出ていない体つきであり、童顔であれば、モスグリーンのネクタイをしていなければ三年生だということに気がつかれないだろう。
「一目惚れって何度、言ったら信じてくれる?」
 灯影はカウンターに手をつき、真剣な表情で言った。
「寝言は寝てから言ってちょうだい。
 私は灯影くんとポッキーゲームをするつもりはないから。
 それこそ未来永劫にね」
 春晏はきっぱりと断った。
 かなりキツイ言い方だと思ったけれども、これぐらいはっきりと言わないとこの後輩には伝わらない。
「俺、諦めが悪い方だから安心して」
 灯影はにっこりと笑う。
 頭が痛い、とはこのことだ。
 春晏はためいきをついた。
 ――あの日、ポッキーを買おうと思わなければ、こうして二人は出会うはずがなかったのだ。
 気まぐれに起こした自分の行動にかなり……いや、充分に後悔した。


   ◇◆◇◆◇


 爛漫の春だった。
 在校生による新入生歓迎式の前。
 入学式が終了した直後。
 春晏は貸出人がいるはずもない図書室に向かおうとしていた。
 春休みであっても図書当番はあるのだ。
 たとえ、貸出人がいなくても。
 お弁当を作ってくれれば良かったと、だいぶ後悔しながらお菓子の入っている自動販売機に足を運んだ。
 視界の端に入った散っていく桜が綺麗だったのがいけないもしれない。
 ピンク色のポッキーの箱が目に入った。
 それを購入しようとボタンを押そうとした瞬間
「それって美味しい?」
 ごく間近で声をかけられた。
 上から降ってくるような艶のある声に春晏はビックリして固まってしまった。
 背後にいる男子生徒は気にした風ではなく、自動販売機に小銭ではなく、カードを入れて、イチゴポッキーのボタンを押した。
 ガコンっと音を立てて、それは落下した。
 男子生徒はそれを不慣れな手つきで取り出す。
 そこで改めて、春晏は男子生徒を見ることになったのだ。
 音楽科もある明智学院だから、芸能界に片足を突っ込んでいる生徒も少なくない。
 実際、国際的に活躍している先輩たちもいるし、現役のアイドルもいる。
 それを差っ引いても、整った容姿をしていたのだ。
 ネクタイの色はクリムゾン。
 あっさりとカードを使ったところを見るとエスカレーター式で入学したばかりの一年生だろう。
 家柄の良い生粋のお金持ちの学生だ、ということだ。
 公立の高校に通うよりも学費が安いという理由で、私立明智学院を選んだ春晏とは、住んでいる次元が違う。
 若干、着崩している濃紺のジャケットには『岡崎灯影』という名札がつけられていた。
 有名すぎる名前に、中学生時代の成績、内申点、それらを考慮されてランダムに選ばれた生徒会役員の一人だということがわかった。
「食べたことがないんだけど、何だか先輩に似ているね。
 こがしゅんあん、で読み方あっている?」
 男子生徒は笑顔でイチゴポッキーの箱を差し出した。
 春晏は驚いた。
 漢詩が好きな祖父が名付けたあまり有名ではない漢詩にちなんだ名前だったからだ。
 春生まれの春晏に合わせた名前だったが、一度で読める人物は今までいなかった。
「初めまして、岡崎くん」
 春晏は何とか声を絞り出した。
「灯影でいいよ。
 あまり名字が好きじゃないんだ。
 知り合いのほとんどが、みんな名字でしか呼んでくれないから、時たま自分の名前を忘れそうになる」
 少年は微笑みながら重大なことを言った。
 いったいどんな家庭の事情かわからないが、名前を呼んでもらえないのは辛すぎる。
 自分の名前を忘れそうになるぐらいに、呼んでもらえない。
 それなのに目の前の少年は気にした風ではなく微笑んでいるのだ。
「高等部の生徒会役員は名前で呼ぶのが習慣だから、今年からはたくさん呼んでもらえるわよ。
 むしろ、あだ名をつけられることの方が多いぐらい。
 だから、大丈夫」
 春晏は言った。
 微かに少年の目が見開かれる。
 それから天使の笑顔とはこのことだろうか。
 秀麗な顔立ちで、この上なく嬉しそうに笑ったのだった。
「だったら、一番初めに先輩が俺のことを灯影って呼んでくれる?
 せっかくの出会いなんだから」
 少年は言った。
 すれ違っただけだ。
 学年も違えば、住んでいる世界も違う。
 この場限りだろう。
 それでも少年の寂しさが減るならと思い、春晏は決意をした。
 幸い人目はない。
「高校入学おめでとう。灯影くん」
 春晏は声が震えないように気をつけながら、精一杯の気持ちをこめて少年の名前を呼んだ。
 見上げなければならないほど背の高い少年だ。
 これから先もたくさんの人に愛されるような生徒会役員になるだろう。
「ありがとう。シュン先輩」
 少年は嬉しそうに言うと、おもむろに腰をかがめて、春晏の前髪にキスをした。
 突然のことに春晏は混乱をした。
「なっ! 何するの!?」
 春晏は抗議の声を上げた。
「お礼だよ。
 ちゃんと名前は覚えたからよろしくね」
 不慣れな手つきでイチゴポッキーの箱を開封すると一袋だけ手にして、残りを春晏に押しつけるように渡してきた。
「こ、こんなのもらえないわよ!」
 春晏は驚いた。
 タダでもらうよりも怖いものはない。
 悪徳商法の手先だ。
 それに異性に対しておごるような連中は警戒が必要だ。
 下心がない、という保証はどこにもないのだ。
 ただでさえ幼く見える春晏は、親戚一同に心配されまくっているのだ。
「シュン先輩って奥ゆかしいんだね。
 もらえるものはもらっておいた方が人生がお得だよ。
 若いうちは遠慮なんてしなくていいんだから」
 達観したことようなことを少年は言う。
 間違いなく、生粋のお金持ちの考え方だった。
「私の方が年上なんだけど?」
 春晏は訂正する。
 ネクタイの色が理解できないわけではないだろう。
「じゃあ、さっきのキスしたことの慰謝料ってことで。
 相殺してもらえる?」
 少年はニコニコ笑顔で尋ねる。
 許せるようなことをしたわけではないが、ここで問答になったら、新聞部のスクープにされてしまう。
 そんな目立つことは御免だった。
「そういうことにしておきましょう」
 春晏は妥協した。
 どうせ二度と会うことはないだろう。
 そう春晏は高をくくったのだ。
 後々、後悔するような事態になることを古賀春晏17歳にはわからなかったのだ。

 『フラクタル』の付き合う前の二人です。
 回想シーンですが、二人の出会いも入っているので、結構重要な話だったりします。


 4500文字を超え、原稿用紙16枚もあるので、かなりの分量ですね。


 灯影は魚座のA型で、春晏は牡牛座のB型という設定です。
 相性はお察しの通りになっています。

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