並木空の記憶録

「紅の空」の管理人2の備忘録

Hブロック感想

 好き勝手なこと書いています。
 自分の実力はポンと横において。




H01  「Where is the princess?」
 コードネームや会話をトランプで譬えられているのが面白いと思いました。
 娘の話が出てきてから、話は不可解なカーブを描いていきます。
 白鳥役をもらった娘が痛む振りをするのが難しい。という伏線が見事に回収され、タイトルまで結びつけた手腕は流石だと思いました。


H02  Eve or Vandor
 殺し、殺されることを望んでいる。狂気のように繰り返される視点。
 愛しているから、という言葉が薄ぺっらいほどの狂おしさですね。
 出会いは喪失を意味するのに、それでも再会を願ってしまう。
 二人が巡り巡ってくる環から逃れる日が早く来ることを祈ってしまいます。


H03  さようなら、おじさま
 さようなら、の使い方が上手いと思いました。
 おじさま、素敵な人ですね。
 エルシーが羨ましくなりました。
 優しい柔らかな文体で綴られる物語は、文句なしのハッピーエンドですね。


H04  さいわいのきみ
 綺麗な恋物語ですね。
 小さな頃の約束が叶って良かったです。
 雪猫と花兎。登場人物の名前からして素敵です。
 病弱な描写が入ったので、もしかして……と思ったのですが杞憂で良かったです。
 するすると心の中に染み渡る文体で素敵でした。


H05  磐縒姫(いわよりひめ)
 ちょっと、いえ、かなり難解な文章でした。
 読み慣れていない書きっぷりに、おどおどと読み進めました。
 とにかく緊張感だけは伝わってきました。
 自動販売機という馴染みのある単語が出てきて、ほっとしました。


H06  くれなゐの鬼
 平安風魍魎殺しなお話ですね。
 紅丸がふいに起こした気まぐれで少女は助かるのですが、カッコイイです!
>「行くぞ」
 少女の面倒を最後まで見ようとする姿は、王道パターンなだけに美味しかったです。
 少女が紅丸の心の支えとなるんだろうな、と未来が想像できる最後で良かったです。


H07  薔薇の娘 注
 狂気ですね。
 掛け違えたボタンのように奥方と双子の娘を呪縛する愛情。
 奥方の後悔しない情念が印象的でした。
 己の最期に至上の美を見られた悦びは狂気を外側からしか見られない読者には、ただただ羨ましいとしか言えないです。
 注意マーク必要な作品ですね。そこが良かったです。


H08  白雪異聞
 主従ものですね!
 髪を切るシーンが鮮やかでした。こういう思い切りの良い姫さんだったんだぁ、と感心しました。
 清平の不遇な人生も姫と出会って変わっていったところも良かったです。
 最後もハッピーエンドを匂わせて終わったところがいいですね〜。


H09  ミューズ
 色聴。共感覚の持ち主である主人公の音の聴こえ方は鮮やかで素敵でした。
 色だけではなく絵画を描くように弾く葉純君の演奏を聴いてみたいと思いました。
 描写が丁寧で綺麗で、まるでそこに自分がいるかのような音の洪水でした。
 葉純の才能を知ってもなお、花純が練習に打ち込む姿は意地のようなものが見えました。


H10  水の、匂い。
 色盲ゆえの悩み。それゆえにじいちゃに話せなかったことが山姥に出会って、話すことが出来るようになった。
 一歩前進ですね。
 裕二くんの焼いた炭は、健常者が焼いた炭と差がないじゃないかと勝手に想像しています。
 持たないものだからか、裕二くんの色へのこだわりが強くて、文章に色が染み付いているような気がしました。


H11  perfume of mystery 注
 続きはーーーーーーーーーーーーーーーー!!
 このページの続きはどこなのでしょうか?
 叫ばずにはいられない終わり方です。
 モデル並に美しいあいりが刑事課に配属されてからの一時間を切り取ったお話ですね。
 甲斐の行動も意味不明だし、何より事件が解決されていない!!
 続きが気になるお話でした。