Cブロックの感想が少なかったので、Cブロックを読みました。
相変わらず自分の実力をぽんと捨てて、直感の感想です。
C01 天つ虫といとしき亡き月の王 注
月に魅入られたお姫様は狂気を宿した。
静かに物語りは進んでいき、語り手の正体をおぼろげに彩る。
逃れようとするも遅く、使者である男は自分の末路を見ることになった。
恐怖ですよね。
蚕が草を食む音がよいBGMになって、恐怖を増していったような気がしました。
C02 踊り子と王様
助からないのか!
書き手さん潔いなぁ、と思いました。
本当の名前を教えたあたりから、最後の締めまでの流れが好きです。
生真面目な青年が思い浮かびます。
嫁いできたお姫様も強いなぁと思いました。
道楽王の二つ名も深みがあって良かったです。
C03 瓶詰め
瓶詰めの前半と後半が綺麗な対比で良かったです。
瓶いっぱいの飴玉がなくなって、空っぽになってまた詰められる。
将ちゃんのような友だちがいたら、毎日が楽しいでしょうね!
>きらきらしているのを見ていると、特別なものを手にしている気分になれた。
この気持ちわかるなぁ、と思いました。
特別なものじゃなくても、自分にとっての宝物ってありますよね。
C04 首長竜、旅に出る
ドドメ色ばんざい。
感想が「ドドメ色って素敵」になっちゃいました。
本来、褒め言葉じゃない色がこの話に限っては褒め言葉です。
全部選ぼうとしているから選べないというのが素敵ですね。
>みんないとおしいからみんなえらんだ。
これが答えですね。
C05 白魔道の街で
才能がないと辛いですよね。
そんなことを気にしていない勇者と気にしている白魔道師。
白魔道師の街で白魔道師として生きていかければならなかったステファンの苦しみは想像しても余りある。
アーサーの前向きすぎる明るさに、話は救われている。
仲間を集めて魔王を倒すのは、アーサーのような勇者かもしれないと一瞬でも思わせたら勝ちですね。
バランスの取れたコンビだと思いました。
C06 モノクロ
「モノクロ」がどんなものかわからなかったのが残念です。
私の理解力不足です。
不思議な双子を拾ったパン屋のお姉さんのお話。
軽口たたくノワールと静かな笑顔が印象的なブランシェ。
キャラクターが魅力的でした。
C07 色彩認証
最後に書きたかったのは虹かぁ。
雨上がりの空に架かった虹は儚くも綺麗だったんでしょうね。
>私の言葉じゃないから。
この繰り返しで小説家は自分の小説を書いていくんでしょう。
>……親切にされると、小さな嘘も縫い針で間違えて刺したみたいに痛かった。
この一文が妙に印象に残りました。
C08 グッバイ・ロンリー
実咲子先輩、魅惑的なキャラクターでした。
色っぽいというか、艶っぽいというか、猫みたいな。
怜平くんの心の揺れが丁寧に描かれていて、思わず話に入り込んでしまう。
女の子をとっかえひっかえして恨まれないのは、得ですね〜。
今度こそお幸せに!
C09 赤い鞄
ミステリー、犯人は誰?
再読しても犯人はご主人しか考えられない。
違ったら申し訳ありません!!
誕生日プレゼントの赤い鞄。奥さんは赤が嫌いだった。そして、その鞄から奥さんの当日が発見さえれる。
知恵の輪のような話だと思いました。
C10 SIKI
一人称が「ぼく」だから諒子が男の子だと思い込んで読んでいました。
スカートをはかないのも女性的な振る舞いも避けるのも、母親である色に似ないための抵抗の一種なのかなぁ。
微妙なお年頃の少女の心の揺れと退廃的なムードの世界観がミックスされて、なんともいえない極上の話を聴いた気分でした。
C11 オレンジの君
オレンジの君とは現代ものとしては古風な呼ばれ方ですね。
ラッキーアイテム「オレンジ」が随所に出てくるので、楽しくなっちゃいました。
運気も最高潮。と二人のこれからを案じさせてくれます。
テレビの占いってけっこう気になっちゃいますよね。
C12 色とりどりの世界
自分だけ見える世界よりも誰かと共有して見える世界のほうが何倍も素晴らしい。
>色とりどりの世界が徐々に灰色に変わるのを、グレンは静かに見ていた。
グレンは、後悔していないと思います。
私だったら迷ったと思います。身近な人間にだけ色を分けてお終いにしてしまいそうです。
心の綺麗なグレン少年は、たくさんの人に色を分けていくんですよね、これからも。