実力棚上げての好き勝手な感想です。
思いのままに書いているので、読み違えていたらごめんなさい。
C01 歌うたいの賛歌
ベタベタ甘々カップルのお話かなぁ。
チョコレートが美味しそうだなぁ。
描写が巧いなぁ、と思っていたらこれは切ない!
ただの異世界トリップものとは違いますね。
元の世界では認められなかった歌声では、トリップ先では重要視される。
皮肉な結果だけれどもジルがいるから廉太郎は耐えられた。
その設定だけでも美味しいです。
また再会できるといいですね!
チョコレートのように幸せになってほしいと思ったカップルでした。
C02 真夜中の乙女はラプラスの夢を見るか
迷子になっている少女の名前がアリスのなのは必然か、偶然か。
私がたまたま拾った歌声。
『私』の歌声を探していたから見つけた少女。
家出をしてきた少女を救い出すために、私は努力する。
必死の努力もつかの間、該当者が見つからない。
そこまでの展開でハラハラドキドキしました。
私の出した結論は魂を持つ人間のそれと同じだと思いました。
途中まで『私』がどんな存在なのか、分かりませんでした。
読み終わって納得しました。
C03 きらきら星をさがして
>「お子さんが戻ってきたときに一番に会いたいのはお母さんですから」
この一言が重いですよね。
店員のお姉さんの言葉がずっしりときました。
子供にとってお母さんの存在は大きいですよね。
日常を描くのがとても巧いですね!
スマートフォンでゲームし続ける夫。
こんなに私が切羽詰っているのに、楽天的といえば綺麗な言葉ですが、どこか他人事な夫。
子育ては夫婦、二人の問題なのに非協力的なのが分かります。
無事に奏が戻ってきて良かったです!
奏が姿を消した理由もほんわかして良かったです。
C04 ブルームーン
カクテルの「出来ない約束」とタイトルはかけているんでしょうか。
ブルームーンの間だけ天上界から地上へ下り立つことができるという設定は素敵ですね!
天使たちが楽しみにしている様子が楽しげで良かったです。
私もウキウキしているのが可愛いかったです。
ふんわりとした雰囲気の中、場面が一転するところがスゴかったです。
彼の狂気に飲み込まれそうになりました。
帰りたい、と必死に思う私が哀れに思えました。
こんなにも天上界に帰りたいと思っているのに帰れない。
私の焦りが伝わってきました。
最後のセリフは届いたのでしょうか。
身勝手な男に囚われた天使がとても悲しかったです。
C05 狼たちの夜
香港返還前の夜という舞台設定がいいですね!
下町のがやがやとした雰囲気が堪能できました。
初めのほうの
>みずからの手や髪に染みついた、枯れ草のようなにおい。
が、伏線になっていたんですね!
後半部分で謎が解き明かされて爽快感がありました。
偶然を装った必然というヤツですね!
ちょこちょこと小出しにされる無駄のない伏線に巧いな! と唸ってしまいました。
返還されることで変わっていくものも多いようですね。
これからの二人はどうなるのか、気になりました。
C06 甘やかな墓標
最後まで一気読みしてしまった。
なんとも魅力的な奥方ですね。
たおやかな美しさが漂っていました。
下働きの娘に課せられた任務は重く、恐ろしいものですね。
主人の顔すら見たことのない無知な娘だから選ばれたのでしょう。
奥方の最後のくちづけは、どれほど甘やかなものだったのでしょうか。
まさにタイトル通りのお話でした。
C07 世の光
>ダメだった日はお菓子を作るのが私のリセット法だ。
いいリセット方法ですね。
アップルパイが食べたくなりました。
手際よく作られていいアップルパイと流れるような話題。
一つ一つが私を象っていきますね。
私には補聴器が必要だなんて、中盤まで分かりませんでした。
むしろ日本人じゃなかったというのも驚きでした。
先入観は、一人称小説では危険ですね。
>「手動かした結果、なくなって終わり。ジョギングとか、お風呂と一緒」
趣味なんてそんなものですよね。
自然とやっていて、気がつけば終わってる。
習慣になっている事柄ですよね。
C08 私のヒカリ
>おめでとうって直接言ってもらえたのが凄く嬉しかったなぁ。
留守がちな両親に誕生日のお祝いをしてもらって喜ぶ星が可愛かったです。
普段、一緒にいられない分、嬉しいですよね。
特に誕生日は特別ですよね!
忙しい両親は星にとって誇りだけれども、寂しくなるのは止められない。
三者面談のことを切り出しにくかったのも分かります。
アンドロイドの光が作ってくれたオムライスは美味しそうです。
ママが作ったのと同じ味。
特別仕様というのが良いですね!
最後は明るく締められていて良かったです。
C09 光牙と土竜
注意マークなくても大丈夫ですか?
と、訊きたくなるほど、がっつり戦闘シーンですね。
小気味良く描写される闘いは、物悲しいものがありました。
ソレと対峙した時のアレの感情は痛々しいものですね。
決意が揺らぐのも分かるものです。
どんな形であれ、生きている。
二度目の死は優しいものであるけれど、味わいたくない。
そんな感情が伝わってきました。
>またひとつ、椿ヶ原に骨が咲く。
綺麗な表現だと思いました。
ソレとまた椿ヶ原で出会うのでしょうか。
その時は迷わず、首を落とせるのでしょうか。
簡単なことなのに出来なかったアレに。
C10 ネズミと王女
最初『窖』が読めなくって検索してしまいました。
『あなぐら』ですね(笑)
ネズミがいるところなんだから、あなぐらに決まっていますよね。
>あれほど警戒していたのに、呆気ないほどあっさりとネズミは視力を失った。
>まだ何も見ていないというのに。
十年もかけて探ったのに、一瞬で失ってしまったのですね。
それはとても辛いことです。
夢にまで描いた空も雲も鳥も花も太陽も見ることは叶わなかった。
その失望感を味わう暇なく、訪れた厄介事。
ネズミの視力は戻ったようですね。
目が慣れたのでしょうか。
纏足の美しい王女さまを連れて逃げるなんて、素敵です!
自由を知った二人の物語がこれから始まるんですね!