ネタバレを含むので、未読の方は注意。
各作品への近道↓
- 登場人物に星の名前が入っている
『井戸譚』では黄垣筐の「垣」。『譲り星』ではアダーラ(大犬座の2等星)。『鞠』では湖星の「星」。
名前をつけるのが苦手なのもので「星」というテーマは、助かりました。
選択の幅が狭くなって良い感じでした。
- 星(閉じ込められていたもの)の解放
『井戸譚』では黄龍が解放されました。
『譲り星』ではクライマックスシーンがそれです。
『鞠』では、ちょっとわかりづらいのですが、朱鷹が牢獄を出るときが夜だったりします。
- 主人公が男
視点人物が少年、青年であることは、私の書く話では珍しくないのですが、3作品とも男性が主人公です。
似たような性格な人物たちですが、企画に提出することを意識して、普段なら設定しない設定をしてあったりします。
『井戸譚』では、一人称が『僕』。ある程度の階級の思春期以上の男性に『僕』と言わせるのは、個人的に抵抗があるので滅多にしないのですが、ここではあえて『僕』です。
性格自体は、並木空が大好きな内向的で、トラブル嫌いの良い子ちゃんタイプの少年です。
『譲り星』では、二人称が『君』。これも珍しかったりします。サリレはアダーラを年下だと思っているから『君』と呼んでいるのですが、そういう設定を作ることが稀だったりします。
性格は情豊かで、やや面倒くさがりな面持ちつつ、最終的には体面を気にしちゃって、貧乏くじを引くタイプです。
『鳥夢』のカクエキを子どもにした感じ。
『鞠』では、歯が浮くような気障なことをしても様になるタイプとして設定しました。
時代ががかったセリフが挟まるので、それをしてもギャグにならない……という条件で、『鳥夢』のソウヨウとシュウエイを足して割るとこんな感じのキャラクターになるかなぁ、という設定です。
- 父親(的な立場の人物)
私の書く話は母親がキーになることが多いのです。
それは慈愛であったり、全てを飲み込む存在であったり。グレートマザーとしての意味合いの年上の女性が、かなりの頻度ででてきます。
今回は、父親(的なもの。社会性、建前、伝統、厳しさの象徴)が前面に出てきています。
大幅改稿してしまった『井戸譚』は影が薄くなりましたが(笑)
父と息子、というのがポイントでした。
『井戸譚』では一家の家長である爺爺*1が序盤に登場します。
『譲り星』では冒頭の回想シーンに父親が出てきます。しかも、親子二代の思い出話という構成になっています。
『鞠』では子ども時代の思い出に父が出てきて、捕虜になる前にも出てきます。敵ですが湖星の父が「父親的」であるわけだったりします。
私は父親不在の話を書くことのほうが多い*2ので、本当に「試み」でした。
ヒューマンドラマを書ききるほどの実力がないので、この辺が限界だったりします。
数あるジャンルの中で、選択したのは「異世界ファンタジー」です。
『井戸譚』が一番現実に近いですが、それでも「異世界」な香りがします。中国のどこの省か、まるっきり考証せずに気候や風俗を書き込んでいます。
世界構築が甘いって言うんだったら、ファンタジーでしっかりとした世界観で語ろうじゃないか*3!
という勢いの選択です。
後悔はしていませんv
ファンタジーは好きなように世界を構築できて楽しいですね。
個人的には『譲り星』の世界観を煮詰めていって、同じ世界観で違う地域や違う主人公の話を書いてみたいなぁと思ったりもしました。
共通点はそんなところです。