ネタばれに考慮しているつもりですが、考慮し切れていません。
未読の方は注意。
推理のきっかけメモつき*1。
難しい漢字の基準は「自分」です。特徴的な熟語、言葉選び、変換をしている場合も、難しい漢字に入れていることがあります。
タイトルからの第一印象。
ホラー(っぽいものを含めて)が多そう。
けっこうストレートなお題の消化が多いかな?
タイトルの時点でお題が入っているものも多いし。
素直に「道」を使っている作品が多かったです。
考察もどき
誤読していたら申し訳ない! と、最初に謝っておきます。
今までの覆面作家企画のお題「花」「星」「空」と、今年の「道」で、全部のお題が入っている気がする。
C08、C09、C10
タイトル考
タイトルに「道」が使われている作品が5作品とGブロックに並んで最多。
タイトルに漢数字を使用した作品は、全84作品中1作品で、C12のみ。
印象
一人称で語られる作品が5作品。
長編のプロローグのような作品が4作品*2。
恋愛要素がある作品が6作品*3。
ミステリーが2作。
FTが多いブロックですね。純粋な現代ものがないってのが潔いです。
現代FT、異世界FT、SFってキレイに揃っています。
異世界FTもヒロイック・ファンタジーとトリップ型があって、充実の品揃えって感じがしました。
注意マークがないけれど、注意*4。
C01 流血
C02 戦争
C05 ミステリー(殺人)
C01 迷い人の道標(FT 一人称)
文体は、一文一改行というラノベ、WEB小説系。
「……─」「──…」「…─」特徴のある使い方。
“”を使用。
ボーッ、グッ、ふーっ、コキコキ、サラサラなどオノマトペの多用。
「魂の迷い人」という設定が面白いですね!
現代FTか、異世界FTか。それともSFに分類すべきないのか。
二つの世界をつなぐ物語に似合いの世界観だと思いました。
散文詩のように美しく、それでいて平易な文体で、とても読みやすかったです。
真っ黒から始まって、白、青、緑と色鮮やかな表現が好きです!
長い物語のプロローグのイメージがあります。
続きがあるなら、是非とも読みたい!
ここで終わるのがもったいない作品だと思いました。
C02 峠越え (異世界FT 三人称)
嘆き、掠める、或いは、僥倖、痺れなど難しい漢字を使用。
歴史ものを書きなれている? 感じがしました。
「大小二つの月〜」から、この世界は衛星が二つあるのか! と思ったり。
地球とは違う世界なら、その世界観を存分に堪能したかった!! というのは我がままですね(原稿用紙20枚じゃおさまらなくなっちゃいますよね)。
ストンデン老が惜しい!
頭が切れても、新王リグレスとの間の信頼関係が結べなかったというのが、稀代の参謀に相応しい末路なのかもしれません。
王国内部の政治系統がどうなっているのか、いまいち掴めませんが、新王リグレスを支持する勢力とは敵対していたんでしょうね。
しかし、八千人もの捕虜を得たのはスゴイですね!
群雄割拠の終焉時代を思い起こさせる重厚な骨組みが素敵でした。
C03 来客御礼 (SF 一人称)
箪笥、似非、遮断、所在無げになど難しい漢字を使用。
聞き及んでいる、視覚情報、人身御供など特徴のある表現。
見事なコメディ!
どうして「僕」がこんな事態に巻き込まれたかっていうと……!
がっくりきちゃうような理由ですね! でも、そんな理由なのがいいです!
異星人さんも『キャク』? 言語がどうなっているんだろうと、ちょっと不思議になりました。
てっきりリーファちゃんは北京漢語をしゃべっていて、「僕」には自動的に翻訳して聞こえているのかなって思っていたんですが。
「僕」が二度と行くもんか! って、紙を破っちゃったのはもったいなーい。
リーファちゃんが可愛かったです。
C04 選ぶべき道 (異世界FT 三人称)
阿呆、変哲、厭きれた、薙ぐ、零したなど特徴のある漢字変換と言い回し。
「かれ」の表記揺れ。普段は「彼」を使わない?
旅人(カモ)、半人半妖精(ハーフエルフ)。ルビ。
ルーン(の音韻をアルファベットで)を使用。
場転に「+++」を使用。
判子型のFTかな? と、思ったら、しっかりとした入れ物で驚きました!
訳のわからないまま巻き込まれて、説明してくれたと思ったら、大事で訳がわからない。
どうしてこんなことになったんだ!? という状態のイディスに、同情。
健気にも「止めるほかに、何の選択肢があるというんだ」って言っちゃう辺り男前!
魔法の体系や、二人の旅人の出会い、保身に走った領主の結末、そして結婚式には間に合ったのか!
その辺りのエピソードがあるなら読みたいと思いました!
C05 sai−ai (ミステリー 三人称)
悦、癇、傍、櫻、惰弱、など難しい漢字を使用。
セリフ「じ」が「ぢ」になっている。
「コンパァトメント」、「ワンピィス・ドレス」と「ー」を使用しない。
近代文学のような文章(文語体)が混ざる。
タイトルのローマ字は『最愛』なのか、それとも造語なのか。ほんのりと気になりました。
登場人物は見事に横文字なんですが、櫻に象徴されるように、どこか日本的な雰囲気がしました。
江戸川乱歩などのミステリーを読んでいる気分になりました。
人間の狂気ほど恐ろしいものはないな! と。
犯人が罪を重ねずにはいられなかった心境が、わかります。
それをやるせなく感じる探偵側も!
美麗美文調の中、解き明かされる謎と解かれなかった謎の余韻が、素晴らしかったです!!
C06 ワン・ラスト・キス (FT 三人称)
シャンと、きゅっと、などオノマトペ。
刺繍、辿り、轍、遥かなど難しい漢字を使用。
全角アラビア数字。
アルタイル、デネブと現実の星の名前が出てきたから歴史もののような気もするんですが、特定の時代と国を描いているわけじゃないのでFT(ということで)。
少女の背景が気になりました!
どうして幽閉されていたのか!
白銀の髪と黄金の瞳にはどんな意味があるのか!
逃がしてくれた青年との関係は、どんな関係だったのか!
語られないのですが、それでも説明不足だと感じずに読めました。
御者はいい奴ですね! カッコいいです。
少女と青年が再会することを祈っています!
C07 おばけの道案内 (現代FT 一人称)
安城市名鉄桜井駅、中津川駅などから土地勘のある人?
綴り、被った、蒼い、凝らした、微かに、零れ落ちる、眺めて、含み笑いなど難しい漢字を使用。
句読点、三点リーダ多めの文体。地の文の三点リーダに句点を打たない。
「あわてて」などに表記ゆれ(←推敲不足かも?)。
愛知県の名古屋市が舞台! と、WEBで検索。
中津川駅は岐阜県でしょうか。どっちにしろ、土地勘がわからないので調べてもよくわからないままだったりするんですが。
C言語にTOICAと現代的な単語の次に「希鈴姫」! 姫ですよ、姫!
一瞬、現代ものじゃないのかなって読み戻りました。毒されすぎですね。
「おばけの道案内」も大変ですね。
設定が新鮮で面白かったです!
後半部分の希鈴ちゃんが一生懸命にお仕事しているところは、微笑ましかったです。
国内で地名が変わっちゃったぐらいなら、きっと幽霊も帰ってこれるとは思いますが、国外は……! 無事にたどりつけるのかな。希鈴ちゃんが困った理由がわかります。
最後に裕人さんが出てきて、しんみり。
切なーい!
C08 変化妖怪花火道 (現代FT 三人称)
S市と地名をローマ字で伏せる。
熟語を開かないかわりに、平易な漢字「おもう」「あがり」「はなし」「じつに」を開く。
全角アラビア数字を使用。
妖怪も楽しみの花火大会。
年々、腕を上げていたという設定が良い味を出していますね。
悪乗りしすぎて、人間を怖がらせるなんて、妖怪らしい!
姐さんが魅力的なキャラクターでした。
グラデーションの花火かぁ。妖怪花火でも見てみたいです!
C09 この道の終わり 注 (異世界FT 一人称)
終焉、祀られる、受諾、凄惨、緩やかに、躓き、云ったなど難しい漢字を使用。
そばに、このとき、包みこんだを開く。
終りなど特徴的な送り仮名。
改行する場合、三点リーダの後に句点を打たない(表記ゆれかも)。
うわぁぁぁぁーん! わかっていたけど、これは切ないです!
「運命」なんですね! 変えられないから「運命」なんですね!
月夜の逃避行の情景が美しくって、望んでしまった「私」のいじらしい気持ちを応援したかったけど、「運命」なんですね!!
初めからわかっていた恋の結末。切なすぎます。
でも、かすかな救いが残されていて良かったです!
全編通して美しく華やかな表現に彩られていて、素敵でした!
C10 ラブストーリー (現代もの 一人称)
踵、喋って、厳粛など難しい漢字を使用。
まさにラブストーリー!!
上手い! 途中から「僕」って……とは思っていましたが、それ以外にも、こうやってネタばらしが来るなんて。感服しました。
書き方が上手だなぁ、と思いました。
情報の切り出し方が上手くって、読み進めてしまいました!
きっと良い家族になりますね。
今度こそ「僕」には幸福になって欲しいです!
C11 ある冒険者夫婦の帰郷 (異世界FT 三人称)
「* * *」場転記号。
えええーー!! って言いたくなるような夫婦。
異世界FT、それもヒロイック・ファンタジー系を好きだったり、その書き手さんだったら一度ぐらいは書きたくなるような、ライトなコメディ。
ツッコミどころは満載なんですが、ツッコミを入れたら負けなような気がする。そんな作品ですね!
自分たちのことしか見ていない夫婦に、ごちそうさまって感じです!
しかし、壮大ですね。壮大すぎてコメントがしづらい壮大な恋愛ものですね。
面白かったです。
C12 八月の空蝉 注 (ミステリー 三人称)
敗戦直後の時代背景。
「*」場転記号。
ちょ、え、あ、……えーっと。
みたいな感想です。
とりあえず、探偵さんお疲れ様です。
読み終わった直後の感想はそうでした。
あ、そういうのを含めての設定なんでしょうか。
だとしたら、なんて込み入った設定なんでしょうか!! スゴイですね!
「私」が意外にしぶといというか、芯の強い女性でビックリしました。
でも、これからの動乱の時代を考えたら、これぐらいしっかり者のほうがいいのかもしれませんね!
嘘が嘘を呼び、さらに嘘を呼んでいく展開は素晴らしかったです!
とりあえず底があって良かったです。
さらに嘘が出てきたら、どうしようかと思っていました。