並木空の記憶録

「紅の空」の管理人2の備忘録

■永劫回帰 (同じものが永遠に繰り返してくること)

 運命だ、とささやかれた。
 一目でわかった。
 ひづめの音がした。
 金属が打ち合う音がした。
 人の叫び声がした。
 訓練とは違う、本物の音だった。
 ホウチョウには馴染みのないものだった。
 怖い、はずの音だった。

 怖くなかった。

 近づいてくる一騎。
 それが彼だとわかった。
 ずっと会いたかった。
 どうしているのか、知りたかった。
 笑っているのか、気になった。

「シャオ!」

 ホウチョウは名を呼んだ。
 シキョ城でそうであったように、紅の衣をまとった乙女は駆け出した。
 ひらりと薄布が滑り落ちる。
 ホウチョウは、秋にしては強い日差しを受ける。 
 緑とも茶色ともつかない綺麗な色は、少しも変わっていなかった。
 それが嬉しくて、ホウチョウは笑う。
 差し伸ばされた手をつかむ。

(建平二年:鳥陵公主フェイ・ホウチョウ)



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 ↑ウィキペディア永劫回帰