「ここじゃないどこかへ、行きたいわ」
「行ってどうするんですか?」
「どうしようもしないわよ」
「行くだけ、無駄ですよ」
「そう?
きっと、そこにはロマンがあるわ」
「確信的ですね」
「だって、ここじゃないんですもの」
「まるで、ここには『ロマン』がないようです。
ありませんか?」
「ここは、退屈で、窮屈よ」
「穏やかな日常がある、と言ってほしいですね」
「刺激が足りない、と思ったことはない?」
「ありませんね。
あなた、一人で十分です」
「あら、そう?
私には物足りないわ」
「だから、ここではない、どこかへ、行きたいのですか?」
「ええ。
それとも、足りないロマンをあなたが補ってくれる?」
「前向きに対処させていただきます」
「つまり、やらないてことね。
ああ、暇ね。
嫌になるぐらい」
「どこかへ、行きますか?」
「いいわ。
やめておく。
あなたが『ロマン』をつくってくれるまで、
ここで待っている」
恒例の『続きません』です。