並木空の記憶録

「紅の空」の管理人2の備忘録

どこかへ

「ここじゃないどこかへ、行きたいわ」
「行ってどうするんですか?」
「どうしようもしないわよ」
「行くだけ、無駄ですよ」
「そう?
 きっと、そこにはロマンがあるわ」
「確信的ですね」
「だって、ここじゃないんですもの」
「まるで、ここには『ロマン』がないようです。
 ありませんか?」
「ここは、退屈で、窮屈よ」
「穏やかな日常がある、と言ってほしいですね」
「刺激が足りない、と思ったことはない?」
「ありませんね。
 あなた、一人で十分です」
「あら、そう?
 私には物足りないわ」
「だから、ここではない、どこかへ、行きたいのですか?」
「ええ。
 それとも、足りないロマンをあなたが補ってくれる?」
「前向きに対処させていただきます」
「つまり、やらないてことね。
 ああ、暇ね。
 嫌になるぐらい」
「どこかへ、行きますか?」
「いいわ。
 やめておく。
 あなたが『ロマン』をつくってくれるまで、
 ここで待っている」

 恒例の『続きません』です。