自分の実力棚上げ。
感想というよりも叫び。
ネタバレ満載の感想を書きました。
自ブロックなので自作バレしています。
推理中の方は気をつけてください。
D01 秘密が見える目の彼女
>おそらく私のことをわかってくれる人なんて、この世にいないのです。
悲観していますが、前述でクラスメイトと言っているあたり、まだまだ若いですよね。
秘密が見えるというのは、それだけ辛いことなのでしょう。
人生の折り返し地点にも到達してないっぽいのに、漂う諦観は切ないです。
本当は「わかってほしい」んですよね。
この一文から、それが辛いぐらいに伝わってきます。
中居くん、不良ですね。
授業をさぼるだけでもすごいのに、タバコまで吸って。
財布泥棒を疑われても仕方がないですね。
日頃の行いが悪すぎます。
でも二人称は“きみ”のギャップに萌え。
家庭崩壊していますね。
中居くん、家でも学校でも居場所がないとは辛すぎる設定です。
同情してしまいました。
真犯人をかばっているのも男気がありますね。
無事、事件が解決して良かったです。
二人の『めぐみ』に翻弄されながら気持ちよく読み終えることができました。
D02 神の庭
滅びの世界観ですね。
すでに祖国を失ってしまったディノ・ハルトがリュミエレを伴って《神遺領域》の門を開ける理由が気になりました。
彼女の出した三つの条件も物語に深みを与えてくれています。
謎のまま、謎として隠されているのでリュミエレ視点で、この作品を読んでみたいと思いました。
神の獣と戦うシーンは、ゲームのモンスターハンターを思い起こすほどの迫力です。
>現にディノは自分が少年だった頃、彼女と出会ったことを忘れてしまっているのだから。
聞き捨てならない一文ですね。
まるで初対面のようなやりとりをしていましたよね。
リュミエレは演技力がありますね。
過去にどんな出会いがあったのかバトルシーンを挟んで心に引っかかる展開に仕上がっています。
リュミエレがこの世界にとって、どんな存在なのか、すごくすごく気になります!
最後の条件が予想外だったので良い感じに裏切られました。
こういう展開に弱いんですよね。
D03 couturiere
お恥ずかしながらcouturiereの意味が分からなかったので検索してしまいました。
フランス語で女性のファッションデザイナーなんですね。
一つ勉強になりました。
話がゆったりと展開していくうちに、ウェディングドレスが出来上がっていくのが重なっていて、上手い情報の出し方だなと思いました。
説明口調になってしまうような世界観の説明が、生き生きとした愚痴(?)混じりの『私』の、ファッションデザイナーとしての誇りと苦労が折り重なりながら、語りだされていて、作品の世界にのめりこめました。
>占いや迷信は背中を押してくれる。
自然に飲みこまれました。
数々の迷信があるんですね。
『私』もその一人なんですね。
一つ一つ気になる迷信でした。
これだけで物語が作れてしまいそうです。
C04 子どもを助けたら勇者と呼ばれた件について
自作です。
D05 夢を視ないという夢
『おばあちゃん』のおまじない、良いですね。
眠れぬ夜に過ごす時間は、とても素敵なものです。
月光に照らされた懐かしい時間は、暖かなものですね。
と、思っていたらまさかの展開。
>一緒に遊んだり、食事をしたりという記憶もないのだ。何故そのことを、疑問に思わなかったのだろう。
てっきり、幼すぎて忘れてしまっていて、語られない記憶なのかと思っていました。
そんな展開になるとは思いませんでした。
ホラーな展開なのに、こころがほっこりとするような作品に仕上がっていて、読み口は良かったです。
きっとこれから先も『僕』を守ってくれるんでしょうね。
そんな明るい未来が見えて、素敵でした。
D06 ヴォストーク・デイ
来年の八月の末日の早朝に何があるのでしょうか。
早く説明が欲しいと思いました。
タイトルの意味はロシア語で良いんでしょうか?
独特な文体ですね。
フェイクでしょうか?
>真夏の世界に雪が舞っていたのです。ひどく美しく、それでいてまがまがしさを秘めた光景でした。
湊の心情が混ざってきて、三人称の神の視点から、馴染みやすくなりました。
少しずつ文体が変わっていくのが不思議な感じもしましたが、それが心地よいと思いました。
真夏の雪は湊が見た通り、美しく、まがまがしさを秘めているんでしょうね。
冗談じゃないぐらい雪が降ってきましたね。
最初ののんびりとした雰囲気のまま、話は展開していきますが。
それは八代さんのせいですね。
湊が心を許しているせいか、冗談じゃない展開になっているのに、どこかほんわかとしています。
ホッカイロぐらいではしのげない寒さですよね。
まさに想像を絶する世界です。
それでも二人とも諦めていないのがスゴいです。
タイトルの回収をしつつ、ペンギンになるというラストシーン。
楽しげな様子に、これが最後に見た夢だとしたら、切ないなと思いました。
最初の一文から最後の一文まで、予想のつかない展開続きで楽しめました!
D07 オズ ―知識の光をもたらした魔女―
>短い寿命しか持たない魔女
珍しいパターンですね。
たいがい魔女は長寿だったりして、世界の行く末を見たり、隠遁したりしているのに。
その代わりがセイングレトなんですね。
行く末を見守る存在が欲しかったから。
>偽物でもいい。ずっと見ているよ、私の希望
魔女がセイングレトに静かに語りかけるようです。
祈りだと作中に書かれている通り、希望だったのですね。
魔女がどんな世界からやってきたのか。
どうして知識を授ける気になったのか。
何故、セイングレトたちと同じような姿形をしていたのか。
謎のまま終わってしまいますが、結末だけは変えられなかったようですね。
タイトルはオズの魔法使いから採られたのでしょうか。
それとも魔女の名前だったのでしょうか。
それも分からずに終わるのも、滅びの文学ですね。
D08 嗚呼 美シキ兄妹愛哉
>まだギリギリ二十代だというのに、おっさんという呼称には慣れたくない。
克巳のこの気持ちはよく分かります。
ナイーブになりがちな歳ですよね。
>「冗談がお得意なんですね」
夏摘ちゃん、何も知らない女の子だと思っていました。
でも、違うんですね。
タイトルに裏切りがなければ、兄思いの女の子なんですね。
>メッセージアプリ
固有名詞を出さないのは、世界観を大切にしたいからでしょうか。
現代かもしれないし、ちょっと未来かもしれないし。
>「兄が、私のために隠してくれているなら、私は何も知らない妹として笑っていたいんです」
切ない!
夏摘ちゃんの強さは、どこから滲み出てくるのでしょうか。
兄は妹のために金を稼ぎ続け、妹は笑顔で出迎える。
知っているのに、知らないふりをするのは大変でしょう。
克巳は素敵な人ですね。
スピーカーモードとは恐れ入りました。
夏摘ちゃんの笑顔が戻って良かったです!
D09 てとてとて
テトちゃんは猫なのでしょうか? 犬のなのでしょうか?
肉球という文字が出て、視点人物が人間ではないと感じましたが。
可愛らしい冒険が実は家出だとは。
家族から色々なものを拝借して、想い出を詰めての家出は切ないです。
愛された記憶があれば、あるほどしょんぼりとした気分になりますね。
>テトちゃんは再起動しました。
え、再起動?
もしかしてロボット?
ロボットも家出を考えるほど、感情豊かな、平和な世界があるんですね。
帰る場所があることは素敵なことです。
それも家族がいるなら。
最後の一文がグッときました。
全体的に優しい文章の中、考えさせるような内容が詰まっているのに、決して重くない文章になっているのは作者さんの腕前ですね。
D10 吾輩はルンタくんである
ロボット掃除機の『ルンタくん』の軽妙な語り口。
「吾輩は猫である」と下敷きにして、新しい作品に仕上げている換骨奪胎の設定。
>テレッテテー。
に「始めるぞー」とルビを振るセンス。
作者さんの文章にすっかり夢中になって読み進むことができました。
掃除といっても単純なことではないんですね。
ルンタくんのエラー報告を
>見ると胸が痛むんだ。
オーナーの心優しさに、ほっこりとしました。
文章に無駄がなく、張り巡らされた伏線も回収して、ハッピーエンド。
お掃除した理由もきちんと説明されていて、本当に過不足ない作品でした!
見事6000文字内に収めた手腕は見習いたいものです。