並木空の記憶録

「紅の空」の管理人2の備忘録

Fブロック感想

 自分の実力を棚上げして書いています。
 ネタバレ満載です。




F01 アイ・アム・ファイヤーマン!
 青白い火の玉が良い味出していますね!
 突然の呼びかけに応えちゃう俺もいいですね!
 二人の掛け合い漫才みたいな会話のテンポは本当に漫才みたいで面白かったです。
>「ある方の家を燃やしてほしいんだ」
 物騒すぎるお願い事に俺じゃなくても聞き間違えたかと思いますよね。
 ファイヤーマンの卵が放火するって皮肉が効いています。
>「日野・男」
 で“ファイヤーマン”って勘違いする火の玉に失笑してしまいました。
 そんな理由で巻き込まれた俺に思わず同情してしまいました。
 消防士を目指しているのに。
 そして、火の玉が燃やしてほしいというのはお社。
 ますます燃やせませんよね。
 水野美琴さんもお気の毒に。
 神様の世界では言葉遊びが流行っているのでしょうか。
 俺の活躍で無事、水野さんは助かり、蛍様は正気を取り戻しました。
 燃やしてほしいと言った理由を火の玉が切々と語ります。
 そんな夢を俺は見た、という夢落ち。
 夢にしては出来過ぎているので、夢じゃなかったに一票入れたい気分です。
 水野さんも俺の話を真剣に聴いてくれるんじゃないでしょうか。


F02 命がけの結婚
>「理屈だけでは、片付かないこともある……それは、盲点でした」
 確かに命がけの結婚ですね!
 初夜を迎えたヤナに投げ飛ばされたアルヴォンが哀れです。
 まさか、そんな事態になるとは思ってはいなかったでしょうに。
 ヤナの方もそんなことをしてしまうとは思ってもみなかったでしょう。
>「もう少し、この結婚を続けてみませんか?」
 アルヴォンの提案は意外なような気がしました。
>守られる存在でいることのぬるま湯を押し付けられ、唐突に奪われた。
 ヤナはただの娘であり続けたのですね。
 それはとても残酷なことのように思えました。
 一人になってしまったヤナは、守る側に回ったのは当然の帰結だったのでしょうか。
 後半のヤナとアルヴォンとカイバのバトルシーンは胸が熱くなるようでした!
 テンポよく戦闘シーンが描かれていて、迫力がありました。
 アルヴォンを守るために闘うヤナが凛としていて、カッコいいです!
>「もしかして……そろそろ、初夜の続きができそうですか?」
 アルヴォンのこの台詞にクスリと笑いがこぼれました。
 まさしく命がけの結婚ですよね。
 二人はこれから契約だけじゃない結婚生活を送るのでしょうね。
 末永くお幸せに!


F03 僕も愛しているよ
 最後まで読んでビックリしました!
 性別逆転しているんですね!
 それに気づかず、読み進めてしまいました。
 甘いタイトルには相応しくはない魔物退治から話は始まります。
 魔物と戦うシーンは小気味よく躍動感がありました!
 エンジと僕の関係は飽きるまでの相棒から、大切な相棒に変わっていく展開が良かったです。
 エンジの秘密を語るシーンは胸に来るものがありました。
 今まで誰にも話したことがなかった秘密でしょう。
>たくさんの秘密を僕に明かしたエンジは、一番大切な秘密を最期の最期まで隠していた。
 切ないです。
 僕の人生を変えるような秘密ですね。
 ラストシーンで僕は微笑んでいるような気がしました。
 エンジと一緒にいられた時間は決して長いものじゃなかったでしょう。
 それでも、たくさんの想い出に彩られていたのでしょう。
 それと共に生きていく僕はタイトル通りでした!


F04 「幸福な食卓
>温かい料理が並んでいる食卓は、それだけで幸福の象徴だ
 キーになるフレーズで作中、何度か登場します。
 良いセリフですよね。
 作り手と受け手が揃って初めて効果が出る言葉ですよね。
 俺は魔術師としては大成しなかったようですが、新しい力の使い道を見つけられて良かったです!
>残飯と見間違えるほど雑多なものが入っているのに味のしないスープは衝撃的だった。
 と俺は前半部分で思うのですが
>ただ肉と野菜を放り込んだ味付けもしてないとんでもないものだったけれど、とても美味しかった。あれ以上、美味しいものなんて一生食べられません 後半で種明かしされるのが憎いです!
 どんな衝撃的な物であっても、気遣いにあふれた料理は美味しいということですよね。
 それこそ“幸福の象徴”ですよね。
 異世界らしい料理の数々は、どれもこれも美味しそうでした。
 読んでるこちらの胃が鳴りそうでした。
 『幸せのスープ』はとんでもなく美味しいのでしょうね。
 食べてみたいと思いました!


F05 火と水の婚姻
 生まれた時から決まっている婚約者なのに、きっちりと恋愛していますね!
 清司の甘いこと、甘いこと。
 鬼火と名付けられて不満を抱いている火燐に
>暗闇を照らす光のようだということ
 さらりと言ってしまうところが、激甘ですね。
 微笑みながら本心だというところがスゴイです!
>「火の神に愛された火燐。これからも僕を照らしてくれる?」
 甘いです。これでまだまだ前半。
 清司が火燐を溺愛しているのが伝わってきて、「ごちそうさま」って気分になりました。
 在景殿は色男っぽいですね!
>十歳以上も年の離れた婚約者のために、夢のある恋愛物語を探してほしい。
 ロマンティストですね〜。
 洗脳に近いと言われても、結局は婚約者のためなんですから。
 少しでも幸せな婚姻になると良いという気持ちが篭っているように見えました。
>「私が変人なら、あなたが婚約破棄したって誰も文句を言わないでしょう?」
 家同士の婚姻に疑問を持った火燐が零した弱音ですね。
 いつも優しくしてくれる清司に惹かれていく自分に気がついたから、婚約破棄を考えたんでしょうね。
 そんな火燐が可愛かったです。
 優しいのは火燐だけだということは、まだ解っていないのですね。
 最後まで火燐に甘い清司に砂吐きでした!


F06 夕星☆えとらんぜ
 壁ドン!
 森さんよりも盛り上がってしまいました!
 まさか壁ドンが読めるなんて思ってもみませんでした。
 謎めくクラスメイト加賀瀬くん!
 女の子の好きだという気持ちが主食だなんてヒドイですね!
 みんな大切に育んできた気持ちを軽い気持ちで摂取して欲しくないと思いました。
 それに簡単にキスしちゃうなんて、ヒドイです!
 ファーストキスかもしれないのに。
 それを記憶操作して忘れさせちゃうなんて、二重に罪深いですね。
 森さんが目を離せなくなったのは当然の結果ですね。
 後半に入って突然の告白。
 まさかお隣の星からやってきた調査員とは、驚きの展開です。
 森さんの記憶は操作されないようで良かったですけど、罠に嵌ってしまったのでしょうか。
 最後の一文が未来を連想させて、怖いです。
 森さんも今までの女の子たちと同じ道を歩まなければ良いなぁ、と希望を持ってしまいました。


F07 火のないところに煙をたてるお仕事です。
 読んでいる途中から、僅かな引っ掛かりを覚えていたのです。
 読めば読むほど確信に変わっていきました。
 そして、最後の一行を読んで「女って怖い」という感想でした。
 友ちゃんがやったことは許されないことですね。
 自分だけのものにするためとはいえ、理沙を傷つけています。
 幼稚園の頃から一緒の友達にすることではありません。
 理沙がそれだけ魅力的な存在なのでしょう。
>私だけは、絶対に、貴女の味方。
 友ちゃんのこのモノローグは恐怖でした。
 完全に理沙に依存していますね。
 自分だけが理沙の良いところを知っていればいい。
 二人の世界に入ってくる人物は邪魔者。
 赤い携帯電話と青い携帯電話が友ちゃんの表面と裏面を示しているようでした。
 明るいタイトルに対して、ドロドロとした執着を見せつけられてしまいました。


F08 凱旋の火矢は墜されたし
 二十五年と三ヵ月ぶりに楓が群生する森を歩く私が思い返す混乱の時代。
 決して優しかったとはいえない想い出たち。
 喜びの旅に相応しくない激動の時間たち。
 老境に差しかかった私は一つ一つ思い出しながら、歩いていきます。
 それが胸に迫ってくるようでした。
 中盤に入って、緊迫感がいようもなしに増していきました。
 身元が不明な赤子を連れての逃避行。
 生き延びるために家財を捨てて、眠る子供を抱えての脱出劇。
 手に汗握りました。
 無事に二人が国境を越えられますように、と祈りながら読み進めました。
>あの手紙で願われたように、私も娘に幸せ以外を、もう与えたくはない。
 このフレーズに胸を打たれました。
 何も知らずに、ただただ幸せな暮らしをおくって欲しいと。
 亡命政府の旗印にならずに。
 二十五年と三ヵ月。私は“孫”を抱くために祖国に向かうのです。
 私の覚悟が素敵でした!


F09 千匹皮姫
 ミュージカルだったんですね!
 最初はこのままのテンポで続くのかと思ったら、現実世界に引き戻されました。
 お芝居のシーンと現実のシーンが交互に続いていく展開は面白かったです。
>「みんなお客さんから二時間貰う自覚あるの?」
 演劇やっていたので、この気持ちよく解ります!
 舞台は一回こっきりでやり直しがきかないから、最高の物を観て欲しいと思います。
 なれ合いで出来た舞台ほど、しらけるものはないですよね。
 本気になれない団員と私の温度差がリアリティがあるなと思いました。
>太陽は赤か金色か
 もめるのも分かるような気がします。
 サロメの衣装だとセクシー過ぎるという理由もわかります。
 衝突ばかりの舞台で無事に終わるのだろうか、とハラハラしました。
>王  「静まれ! 皆、落ち着け」
 現実と舞台が混濁していくシーンですね。
 舞台が現実を侵食していく展開は良かったです!
>結ばれた二人は、脚本を飛び出してどこかに消えた。
 キレイに落ちがつきましたね。
 もう二度と現れない。
 王と姫が結ばれるシーンは最高の一瞬でした。
 舞台はめでたしめでたしで終わるのが良かったです。
 狂ったのは王様だけじゃなかったようですね。


F10 灯油あります。
>ガス欠で消えそうになった人魂の皆様に燃料を給油しているの。
 菜種油が入った水差を傾ける姿は奇妙ですけど、キレイだと思いました。
 ガラス製の水差の中にとろりと入った菜種油が減っていく光景は美しいですね!
 本文にある通り、大正ロマンですね!
 それにしても、お客様が個性的ですね!
 高崎先輩と綾花が可哀そうでした。
 まったく見えない志織は強気ですね。
 勉強を教えに来たのに、ちょこちょこと接客(?)していれば苛立ちますよね。
>ドリルがウサギさんのイラスト入り問題集に代わっていた。
 小学生並みに替わっていたのは失笑しました。
 数学が苦手だから算数になってしまったんですね!
 ラストシーンのぺんぺん草でもいいという主人公はスゴイと思いました。
 数学が弱いのに乙4を取ろうと努力する理由が書かれていて、納得しました。
 お客様のこと本当に大切にしているんだなと思いました。


F11 愛の消火大作戦
 将棋盤で碁石を打ち付ける、一人オセロ。
 冒頭の告白シーンから、場転した光景がこれだからギャップに途惑いました。
 シュールですね。
 そんな変人な戸川くんが面白いです。
 野元くんと良い掛け合い漫才を繰り広げてくれますね。
 幼馴染から告白を受けたら、途惑う気持ちも分かります。
>その組み合わせでちょうどいいと思う感性が分からない! あと後半辛辣すぎて心折れる! 折れた!
 野元くんの突込みが冴えますね。
 トン子ちゃんは標準より上の容貌なんだから、振るなんて勿体ないと思いました。
 どう見ても野元くんは恵まれすぎています!
 そんな野元くんを見て戸川くんが持ち出してきた香水瓶。
 小ネタ満載ですね。
 それも似ていないとなると、より面白いです。
>幼稚園の頃から変わってない。
 野元くん、よく見ていますね。
 もう、答えは出ちゃっていますよ。
>「……やれやれ、無駄な時間だった」
 戸川くんじゃなくても言いたくなりますよ。
 ごちそうさまでした!