並木空の記憶録

「紅の空」の管理人2の備忘録

「執行猶予の向こう側」の後書き

 「執行猶予の向こう側」を最後までお読みいただき、ありがとうございました!
 「春祭り」提出用プロットの3つ目。最後に書き上げた話になります。
 滑り込みセーフな提出だというのに、主催のすおうさんに判断を仰ぐという、大迷惑な作品でした。快く引き受けてくださり、しかも丁寧かつ迅速なお返事をいただき、とても感謝しています。この場をお借りして、御礼申し上げます。

タイトルの第一候補は「モラトリアム」でした。

 でも、それだけではそっけなさすぎて、パサパサしているかな? と心配になり、うんうんとうなって和訳を選んでみました。
 第二候補は「エスケープ」で、第三候補は「逃避旅行」でした。
 エピローグに大人になった二人が出てくるので“向こう側”。「対岸」という意味で、つけてみました。思春期を超えた先、という感じです。

 春ということで、フレッシュに。
 春ということで、やや切なめに。
 春ということで、ハッピーエンドに。

 春ということで、青春ものに。

 作者の頭の中の連想ゲームはそんなものです。

今回も「視点人物は蚊帳の外」です。

 会話中心に話が進んでいくのも、毎度のことです。
 行間をびっしり読むのが好きな方が楽しめるように、小さな仕掛けをいくつか埋めておきましたが、すっ飛ばしても問題ない……はずです。
 全部の仕掛けにたどりついた方は、私とお友だちになってください! かなり読書暦が被っているor言葉遊びの感覚が似てると思われます♪

虚構の中にもリアリズムを。

 と思い、若者言葉をヒヤリングして、できるだけ写し取る努力をしたのですが、会話には隠語、造語が多用されているだけではなく、ボディランゲージが重要視されるので、短い文節と固定化された言い回しで構成されることになり、同じ言葉であってもアクセントの付け方や声量、音域で、意味が違ってくるので……やっぱりテキスト化はできませんでした。
 また、課題が増えてしまいました。

注意

 作中に出てくる寄生虫は、画像つきで比較的簡単に調べられてしまうので、そういったものが苦手な方は、自衛のためにも調べないほうが良いと思います。
 作中で飛び回っているモンシロチョウではなく、アゲハ蝶の寄生虫にしたのは……そっちのほうがまだ読み手に受け入れてもらえそうだったからです。食事の前に調べてはいけません。

人生を語るほど、まだ生きてはいませんが。

 エピローグは数年後。
 そこに到る道のりは平坦ではないので、チルハにはチルハの壁が、ケースケは傍観者でしかいられない悔しさが、当然のように存在して、乗り越えた(通り過ぎた?)二人は「どっか」探しをやめました。
 ……話のどこでENDを迎えるかによって、バットエンドにもハッピーエンドにもなる話、のつもりです。
 人生って悪いことと良いことのくりかえしだと思うのです。


 では、ここまでお読みくださりありがとうございました!