連作短編。舞台は現代社会。テーマは「仮」。恋愛要素は激薄。
並木空の実験的小説です
「天体観測(以下、『天観』)」シリーズの……続編に当たります、一応。第二期はそのまんまな感じなので、「君の話」だけ補足。『天観』と同じ世界観の話です。現代日本が舞台で、女子大生のアユが語る話となっています。ただ『天観』と時代が違います。大きくズレているわけではないので、共通の登場人物が登場します*1。
注意書き
基本的に「一人称」です。
自分の作品にR指定をつけるのは、あまり好きではないのですが、一部R指定です。法定年齢に達しているものの、飲酒・喫煙シーンがあります。性描写は全然ありませんが、きわどい会話が交わされます。
しかも、ハッピーエンドの予定がない。
デットエンドというわけではないのですが、現代小説らしく、茫洋とした未来が続いていく系の終わりを迎える予定です。つまり明確な終わりがないため、連載がだらだらと続く可能性があります。今のところ連作短編(一話完結型)な趣になっているので、どこで終わっても、深刻な問題になるとは思えませんが、……そんな当てにならないシリーズです。
書き手の本音
今までやったことがないことへの挑戦なので、心がくじけそうになるときもあります(笑)
一人称の話は、書き手の経験や知識がダイレクトに出てしまうので、「自分よりも賢いキャラを書こう」とすると、半端ではない量の参考文献に当たる羽目になります。自分とは価値観の違うキャラクターは、もっと難しいです。
舞台が現代社会なので、参考文献が山のようにあって、あまり嘘(フィクション)が入れられず、ごまかしが利きません。
問題提起というほどではないのですが、表のテーマが明確なシリーズなので、妥協が許されない感じがして、筆に迷いが出るときもあります。私は臆病者なので、リアリティが低くなるような逃げ道をいくつも作っていたりしますが……*2。
書いていて思うのですが、現代社会の問題に真っ向から立ち向かう小説家さんはスゴイですね。その並々ならぬ胆力に拍手喝采です。