並木空の記憶録

「紅の空」の管理人2の備忘録

「タソガレ(続・天体観測)」読みきり/原稿用紙23枚

 曇りの日の天体観測は、黄昏どきに始まる。

 というあおり文句のわりに、天体観測をしていません。
 短編『天体観測』の続編に当たりますが、
 これのみでも十分読めます。……多分。


 前回が「嘘つきな一人称」の作品だとしたら、
 今回は「少し正直な一人称よりの三人称」です。
 中盤に『天体観測』とまるっきり同じ展開が出てきますが
 視点人物が《黄昏》のため、台詞が一緒なのに
 印象が変化している(はずです)のがポイント。
 それと、文体を元に戻しました。
 改行が多いせいでページ数がかさみました(笑)


 現代ものって、楽なようで難しいです。
 どこまで描写を入れれば、リアルになるのか、
 さっぱりわかりません。
 それプラス、韻を踏みまくる文体なので
 重厚なリアリズムが生まれない、みたいです。


 今回のタイトルは《黄昏》視点という意味もあるのですが
 『黄昏』という言葉の意味から*1
 「誰だか、わからない」と「夕方」をかけています。


 前回以上に『二重(double)』を前面に出してみました。
 二人、二つの表記、二つの名前……と。
 『天体観測』でだらだらと《shi》が
 「ゴールデンウィーク」を考えていた理由を、
 『タソガレ』の後半で描くことができて、良かったです。

*1:夕方は人の姿が見分けにくく、「誰(た)そ彼(かれ)」とたずねるところから 出典【三省堂提供「大辞林 第二版」】