曇りの日の天体観測は、黄昏どきに始まる。
というあおり文句のわりに、天体観測をしていません。
短編『天体観測』の続編に当たりますが、
これのみでも十分読めます。……多分。
前回が「嘘つきな一人称」の作品だとしたら、
今回は「少し正直な一人称よりの三人称」です。
中盤に『天体観測』とまるっきり同じ展開が出てきますが
視点人物が《黄昏》のため、台詞が一緒なのに
印象が変化している(はずです)のがポイント。
それと、文体を元に戻しました。
改行が多いせいでページ数がかさみました(笑)
現代ものって、楽なようで難しいです。
どこまで描写を入れれば、リアルになるのか、
さっぱりわかりません。
それプラス、韻を踏みまくる文体なので
重厚なリアリズムが生まれない、みたいです。
今回のタイトルは《黄昏》視点という意味もあるのですが
『黄昏』という言葉の意味から*1
「誰だか、わからない」と「夕方」をかけています。
前回以上に『二重(double)』を前面に出してみました。
二人、二つの表記、二つの名前……と。
『天体観測』でだらだらと《shi》が
「ゴールデンウィーク」を考えていた理由を、
『タソガレ』の後半で描くことができて、良かったです。