「ダイヤモンドになりたいの」
乾いた目がつぶやく。
喜びも、悲しみもない。
大きなそのガラス玉が見つめる。
「そしたら、傷つかないですむでしょう?」
かたくなな殻の内側には、もろい心がある。
何もかもから逃げたい、と。
これ以上、苦しみたくない、と。
少女は言う。
だから、この世で最も硬い鉱物になりたい、と言う。
彼女こそ、ダイヤモンドのようだ、と青年は思っていた。
誰もがうらやむような絢爛の美貌。
前を歩き続けようとする意志。
『誰にも征服できないもの』
「火にくべたら、跡形もなく燃えますよ」
青年は言った。
「ええ、望むところだわ」
少女は言った。本当に、彼女はダイヤモンド。
何よりも硬い鉱物だと言うのに、火にくべたら燃えてしまう。
頑強な外側と繊細な中身。
と言うわけで、続きません(笑)