並木空の記憶録

「紅の空」の管理人2の備忘録

『夕焼けを覆う』の後書き

 後書きです。


 特殊だといわれる一文一改行を減らし、段落を作り。登場人物や地名にはルビを振り。読点の数を減らしました。一般的な「小説」に近いスタイルになったはずです。競作企画で読んでいただくということを考慮して、頑張ってみました。


 例のごとくタイトルは迷走しました。「かいだん」とか「5時59分」とか「夏祭り」とか「草食系男子の〜」とか「夕焼けが美しく見えるには〜」とかつけようとして、下読みしてくれた友人に却下され続けました。
 迷走し続けた結果、書き出しの一文から取って「夕焼けを覆う」となりました。この「覆う」は「包み隠す」という意味よりは「支配」するという意味のほうが心持ち強めで、つけてみました。


 書けない、書けない、最初の一文が思いつかない。と、プロットができてからぐだぐだとtwitterなどで言っていたんですが、「サファイアは〜」の一文が出てきてからは、思ったよりも楽々と書けました。「何故、サファイア?」というのも書いているうちに理由ができて良かったです。


 「終戦記念日」というお題を見たとき「『異世界FT』のしかもライトな読み口で書けないものか」と友人に口走ったがゆえに、このような作品となりました。風刺は最低限です。主題ではないのですが、不謹慎にならないように気をつけたつもりです。ここだけは言い訳しておかないと、と思っていたのです。


 学園都市の通称が「夕凪」なのは、『島唄』が印象的だったからです。歌詞に出てくる「夕凪」の一般的な解釈と作品上の解釈は違いますが、私はこの解釈で歌詞を聴いていたので、そちらを採用しました。もちろん「夕凪」という文字の並び、音の響きも気に入っているからという単純な理由もありました。


 今作の主題は「夏らしい爽やかなボーイ・ミーツ・ガール」という、以前参加したときと変わらないものでした。“爽やかさ”はどこかへ行ってしまったかもしれませんが、夏らしいというのと少年少女の出会いは無事に書けたような気がします。
 それだけの話なので、サラッと読んでいただけたら幸いです。