やあ、またお会いしましたね。
お元気そうで何より。
いや元気ではない?
私と会っているあなたは、とても元気そうに見える。
この仮想現実《世界》はアバター《モノ》であるからして、さほど深刻ではないと思える。
私もあなたも。
おや、私をご存知ではない。
あなたはどうやらこの箱庭の近道を知っているようだ。
何、実にシンプルなことだ。
迷路のように歪な形式《カタチ》をした不案内な箱庭――ガン細胞《ウィルス》のように胎内で無限増殖していくものにも始点がある。
それが箱庭の入り口にして、出口の一つ。
私が待っているだろう。
無論、私の話を聴くにはJAVA《装置》のスイッチを入れなければならないがね。……私は残響《ファントム》だ。
耳を澄まさなければ聴こえず、目を凝らさなければ視えない。
手間をかけさせてしまい申し訳ない。
何故、私がそのようなカラクリを作ったか?
日付を確認されるとよろしい。
そこに模範的な回答への鍵が隠されているだろう。
さて、私はそろそろ語るべきものを語りつくした感がある。
残響《ファントム》は立ち去るのではなく、消失を迎えるもの。
それでは皆さん、ごきげんよう。