殺されるつもりなどなかった。 生きて、生きて、生き抜くつもりだった。 死は遠く、自分にはないものだったと思っていた。 それが 今 ここにある。 「そろそろ、決着をつけましょうか。 晩ご飯に間に合わなくなってしまいます」 緑の瞳を子どもが微笑む。 自分の半分も生きていない子どもは、楽しげに剣を鞘払う。 一閃。 稲妻のように早く、癖のある剣筋がライカイを斬る。 死は遠いものだと思っていた。 それが目の前にある。 ここで死ぬ。 現実感のない現実だった。 都からこんなにも離れた異国で、果てる。 認められるはずもない。 ライカイは曲刀を握りなおす。 (建平三年、色墓の戦い:玉棺王ギョク・ライカイ、鳥陵右将軍シ・ソウヨウ)